昨晩のF1(第13戦、ベルギー・グランプリ)は痺れました。マクラーレン・メルセデスを駆るハッキネンは痛恨のスピンによって順位を落としましたが、後半じりじりと追い上げ、レース終了4周程前でフェラーリのシューマッハを捉えました。2台が前方を行く周回遅れに追いつく直前にハッキネンはシューマッハのスリップストリームに入り、周回遅れを抜く際にサッとスリップストリームから出て鮮やかにシューマッハを抜き去り、そのまま逃げ切って優勝です。
ハッキネンの技量と度胸も素晴らしいものですが、最後の数周の2台の速さを見ると明らかに車(或いはタイヤ)の性能に差があったように見えます。車好きはどうもイタリアを贔屓目に見て応援する傾向がありますが、最近はル・マンを見てもF1を見てもドイツ勢が優勢です。ドイツ人のシューマッハがイタリアのフェラーリの救世主であるというのも皮肉な話ですが、「やっぱりレースと言えばフェラーリ。血統が違うよね。ポルシェとかメルセデスのような新参者とはどこか違うんだ。」なんて曖昧なことをモーター・ジャーナリストと言われる人もしゃあしゃあと言ってしまうのです。私もそう思っていました。ところがテリー伊藤さんが最近ある車雑誌で次のようなことを書いて、私の頭の中のどこかにあった曇りを一掃してくれました。「ポルシェ製の宇宙船とフェラーリ製の宇宙船。君はどっちに乗るか?」このような「曖昧な郷愁」と「冷静な評価」を一刀両断にするテリーさんの才能はずば抜けてますね。