新投信法が施行されたのが去年の12月。以来、新たに設定された投信の販売には予め目論見書を交付(郵送もしくは手渡し)することが必要になりました。但し経過措置として、既に設定済の投信の販売については、今年の12月迄はその必要がないことになりました。一方、この間の通常国会で証取法が改正され、目論見書の交付は電子媒体(PDF等)によっても良いこととなりました。ここまではメデタシ、メデタシです。
ところが、その施行は、来年の6月から1年間の間の政令の定める日となりました。つまり今年の12月から最短でも来年の6月迄、全ての投信について、オンライン証券を利用されるお客様は予め目論見書の郵送による交付を受けなければ購入が出来なくなる訳です。しかも早ければ来年の6月以降はその必要がなくなることは既に立法府で決定されているのです。
こんな理不尽なことってあるでしょうか?システムの開発、印刷、郵送。全てにコストが掛かります。無駄なコストです。何よりも、「面倒臭さ」が投資行動を抑えるかも知れません。行政とは「司法以外で、法の下において公けの目的を達するためにする作用」と広辞苑にあります。政令は行政の最高機関である内閣が定める命令です。まぁ、まだ時間もありますし、合理的な措置が執られることと信じておりますが・・。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。