モトリーフール米国本社 – 2025年6月29日投稿記事より
2025年上半期は株式市場や投資家にとって、まるでジェットコースターのような展開となりました。現在は主要な3つの株価指数の全てが上昇基調となっていますが、数週間前まではそうではありませんでした。S&P500指数、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数は年初の数ヶ月間、トランプ米大統領の輸入関税計画が経済や企業業績、株価パフォーマンスに悪影響を及ぼすとの懸念から、いずれも下落していました。
その後、初期の貿易協定や好調な決算といったポジティブな兆しが投資家の不安を和らげ、結果的に株価指数は反発しました。それでも、一部のAI関連銘柄など特定のグロース株は依然として冴えない状況にある銘柄もあります。今回は、2025年後半に大きな復活を遂げる可能性のある2銘柄とその理由について考察してみましょう。
1. アップル[AAPL]
トランプ米大統領が関税計画を発表した際、投資家は特に、アップル[AAPL]に与える影響を懸念しました。その理由は、同社がほとんどのiPhoneを中国で製造しており、中国は最も狙い撃ちされた関税の対象国だったためです。トランプ氏はエレクトロニクス製品に対する関税を免除しましたが、この措置は一時的なものです。最近では、アップルに対し、全ての輸入iPhoneに25%の関税を課すと脅しをかけました。
アップルは製造拠点の分散に舵を切り、米国向けiPhoneの大部分をインドで生産すると約束しました。しかし、インドも関税の対象となっています。この関税の不透明感がアップルの株価に悪影響を与え、本稿執筆時点で株価は2025年初来、約20%下落しています。
では、なぜ2025年後半の復活を期待できるのでしょうか。トランプ米大統領は米国に製造業を取り戻すことに真剣に取り組んでいますが、トランプ氏や政権がアップルを含む国内のトップ企業を壊すような行動を取る可能性は低いでしょう。英国や中国と初期に合意した貿易協定では柔軟に対応する兆候が見られ、テクノロジー企業の成長を制限しない形で歩み寄りを期待するのは妥当と思われます。
一方、アップルは、強固な財務内容を持つ企業です。同社は480億ドルを超える現金および市場性のある有価証券を保有しており、課題に取り組むための経営資源を備えています。同時に、このスマートフォンの巨人は、サービス事業という新しい成長エンジンを持っています。アップルの膨大なインストール済デバイス基盤によって、サービス収入は四半期ごとに過去最高を記録しています。この成長は、データ・ストレージやデジタル・エンターテイメントなどでアップルを信頼する忠実なユーザーによって、今後も維持されるでしょう。
こうした全ての点から、現在のアップル株は割安に見えます。予想利益に基づく株価収益率(PER)は27倍であり、2024年末の35倍を下回っています。この水準は株価上昇余地を提供するもので、2025年後半にポジティブなニュースがあれば、それを実現するかもしれません。
2.サウンドハウンド・AI[SOUN]
サウンドハウンド・AI[SOUN]は音声AIの専門企業であり、同社の技術は自動車の音声システムやレストランの注文システムの他にも幅広く利用されています。本稿執筆時点で株価は2025年初来、50%下落していますが、筆者はこれを懸念すべき理由というよりも、むしろ買いの好機と捉えています。理由は次の通りです。
まず、過去1年間にサウンドハウンド・AI株が150%上昇しており、一部の投資家が最近になって、利益を確定させた可能性があるとしても驚くことではありません。次に、成長企業、特に創業間もない成長企業は、厳しい経済状況下では事業拡大に苦戦することがあります。2025年初めに投資家の懸念が、こうした企業の売りにつながりました。
いま重要なことは、サウンドハウンド・AIの業績と長期的な見通しに注目することです。同社は急成長モードにあり、直近四半期には、さまざまなセクターで顧客基盤が拡大しているため、収入が150%急増しました。業界横断的に利用が広がることはリスクを低減する要因となり重要です。特定の顧客や業界が不調に陥った場合でも、サウンドハウンド・AIが同じように影響を受けることを回避できるからです。
サウンドハウンド・AIは、自社のテクノロジー、すなわち言語をテキストに変換するステップを省き、音声から即時に意味を把握するシステムを保護する多数の特許を保有しています。この技術は、スピードと品質向上を実現しています。
サウンドハウンド・AIの四半期売上高は2,900万ドルに急成長しましたが、音声AI市場の規模は1,400億ドルと予想されており、この音声技術の専門企業には大きく成長する可能性が示唆されます。
これらの点から、経済全般についての不安が解消され、サウンドハウンド・AIが成長を持続することで、株価が2025年後半に上昇する可能性があると考えられます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adria Ciminoは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアップルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。