イスラエルとイランの軍事的な緊張が再び表面化しています。同地域で衝突は何度も発生していますが、振り返れば市場への影響は短期的かつ限定的でした。最終的にマーケットのトレンドを決定するのは、景気の方向性であり、多くの紛争は世界的な景気後退をもたらすには至らず、むしろ調整は買い場と捉えられることが多いです。

もっとも、資源価格への影響が出た場合、1970年代の石油ショックや1990年の湾岸戦争時には、インフレと景気後退が重なり、市場にも大きな打撃を与えました。ただし、これらは金融引き締め局面にあった時期でもあり、戦争が直接的な原因というより、複合的な要因の一つと捉えるべきでしょう。本質的に注目すべきは、あくまで経済への波及度合いです。

一方、今回の衝突は、米国が外交的抑止力を十分に発揮できず、影響力の低下が背景の一つでしょう。米国内では34年ぶりに軍事パレードを行うなど、内向き姿勢の強まりも見受けられます。欧州も自制を呼びかける一方、域内各国は国防費増加に迫られています。地政学の不安定さや防衛問題は続くでしょう。短期的な動向に注意しつつ、冷静かつ中長期の視点で状況を見極める必要があるでしょう。