漢字は表意文字ですので、通常はその字を見るだけで意味が分かり、それを元にイメージを浮かべることができます。但し中にはその読み方によって意味が違ってくるものもあります。常々その最たる例だなと思っているのが「人間至る所青山あり」という漢詩です。
これは「ニンゲン至る所アオヤマあり」と読むと、みんながアオヤマのスーツを着ているみたいですが、正しくは「ジンカン至る所セイザンあり」と読みます。ジンカンは世間の意味。セイザンは古代にお墓として使ったちょっとこんもりとした丘というか林を言います。死に場所はどこにでもあると言った意味でしょうか。イメージできる映像が全然違いますね。視覚と聴覚と記憶の関係というのは、何とも複雑な気がします。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。