【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ： 42,654.74 △331.99 （5/16）
NASDAQ： 19,211.10 △98.78 （5/16）
1.概況
週末の米国市場では、主要3指数が揃って上昇しました。4月の米住宅着工件数が市場予想を下回ったほか、5月の米ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が市場予想以上に低下した一方で、期待インフレ率が上昇したことで、利下げ期待が後退し、一時的に相場が下落する場面も見られました。しかし、前日までの8営業日で3割程度下落していたユナイテッドヘルス・グループ［UNH］が、幹部による自社株購入の報道を受けて大きく反発し、指数を押し上げました。また、トランプ政権の関税政策を巡る交渉進展への期待が引き続き投資家心理を支えました。
ダウ平均は33ドル高と小高く寄付くと、一時マイナスに転じ、90ドル安まで下落して42,232ドルでこの日の安値をつけました。その後は再び買いが入り、取引終盤にかけて上げ幅を広げていくと、最終的に331ドル高の42,654ドルで取引を終え、続伸しました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は98ポイント高の19,211ポイントで取引を終え、反発しました。S&P500株価指数も41ポイント高の5,958ポイントで取引を終え、5日続伸しています。
2.経済指標等
5月の米ミシガン大学消費者信頼感指数（速報値）は50.8となり、市場予想（53.0）と前回結果（52.2）を下回りました。4月の米輸入物価指数は前年同月比0.1%上昇でマイナスを見込んでいた市場予想（-0.3%）に反しての上昇となりました。4月の米住宅着工件数は前月比1.6%増の136.1万戸となり、市場予想（137.0万戸）を下回りました。4月の米住宅建築許可件数（速報値）は前月比4.7%減の141.2万戸となり、市場予想（145.2万戸）を下回りました。3月の対米証券投資は、1618億ドルとなり、前回の1129億ドルから増加しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち10業種が上昇しました。ヘルスケアが2%近く上昇したほか、公益事業や不動産、生活必需品、資本財・サービスが1%以上上昇しています。一方で、エネルギーのみが1%未満の下落となりました。
4.個別銘柄動向
週末の米国市場では、ダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が上昇となりました。なかでも、ユナイテッドヘルス・グループが6%超上昇しました。また、スリーエム［MMM］が3%近く上昇したほか、ウォルマート［WMT］やメルク［MRK］、マクドナルド［MCD］、ベライゾン・コミュニケーションズ［VZ］、ジョンソン・エンド・ジョンソン［JNJ］、ナイキ［NKE］、キャタピラー［CAT］、ウォルト・ディズニー［DIS］、トラベラーズ・カンパニーズ［TRV］が1%超上昇しました。一方で、シスコシステムズ［CSCO］とボーイング［BA］、シェブロン［CVX］、アップル［AAPL］の4銘柄が下落となり、特にシスコシステムズは1%下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、バイオマリン・ファーマシューティカル［BMRN］による買収が発表されたイノザイム・ファーマ［INZY］が178.2%急騰しました。また、医薬品のアカディア・ファーマシューティカルズ［ACAD］は、特許訴訟での勝訴を受けて26.5%上昇しました。一方、半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズ［AMAT］は、第2四半期決算で市場予想を上回るEPS（1株当たり純利益）を達成したものの、第3四半期の見通しで中国との貿易摩擦の影響に苦慮し、無難な見通しを示したことが失望売りに繋がり、5.3%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.05%低い4.48 %で取引を終えました。ドル円は、145円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数が揃って上昇した流れを受け、本日の日本市場も上昇してのスタートが予想されます。一方、ネガティブなニュースとして、16日（金）に大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを最上位の「Aaa（トリプルA相当）」から「Aa1（ダブルAプラス相当）」に引き下げたことが報じられています。東京市場がこのニュースを最初に消化することになり、市場の反応に注目が集まります。
先週で決算発表が概ね一巡し、個別材料が減少する中、今週は20～22日にカナダでG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される予定です。また、その後には日米の3回目の閣僚協議が調整されていると伝えられており、引き続き通商政策を巡る政治ニュースを受けた為替や金利動向に神経質な展開となりそうです。
（マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐）
