最近ニュー・エコノミーという言葉をよく聞きます。ネットベンチャーなどを軸とする新しい企業群や経済を表現する言葉です。先日受けたニュー・エコノミー絡みの取材の中で、5年後の日本はやはりニュー・エコノミーによって塗り替えられているでしょうかという質問がありました。私はこの見解には懐疑的です。ネット上で展開するビジネスは、やはり市場としては基本的に日本に限定されると思います。市場としての日本は、もちろん極めて大きいものですが今までの日本の経済成長の経緯を見ると、やはり自動車とか電気製品とかが日本発で世界中に浸透して行ったことによる部分が大きいと思います。
ある意味でeコマースには国籍がありますが技術には国籍がありません。日本の経済成長を本当に牽引できるのはやはり世界に通用する技術や製品だと思います。またそうでなければいけないと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。