2026~2028年にかけて円高=一時的上昇も150円を大きく超えない?
米ドル/円は最近にかけて過去1年の平均値である52週MA(移動平均線、4月25日現在151.6円)を大きく下回ってきた。これは、2000年以降では2002、2007、2015、2024年などに見られた動きだが、前3者では2~4年程度の米ドル安・円高トレンドが展開した(図表1参照)。

上述の4つのケースのうち、2024年のみ、7月の161円から9月の139円とたった2ヶ月で米ドル/円の下落は一巡し、その後は再び52週MAを大きく上回る動きとなった。ほかの3つのケースでも、下落トレンドの展開中にそれと逆行する一時的上昇はあったが、それは最大でも52週MA前後までにとどまるものだった。
最近にかけて改めて米ドル/円が52週MAを大きく下回ってきたことにより、実は2024年7月161円から米ドル/円の下落トレンドが展開しており、その後2025年1月にかけて52週MAを大きく上回り158円まで上昇したのは、歴史的にも「稀有なキャラクター」と言えそうなトランプ大統領の「復活」が、あくまで一時的上昇を異例の大きな動きとしたに過ぎなかった可能性が高まっているのではないか。
以上の前提を踏まえると、米ドル/円は2024年7月161円から2~4年程度、つまり2026~2028年にかけての下落トレンドが展開しており、それと逆行する一時的上昇は、目一杯展開しても足下で151円程度の52週MAを大きく超えない程度にとどまるという見通しになる。
米ドル安・円高は104~123円を目指す?
すでに見てきたように長く52週MAを上回って推移してきた米ドル/円が52週MAを大きく下回ってきた最近と同じようなケースは、2000年以降では2002、2007、2015年の3つがあった。この3つのケースは、下落トレンドが展開する中で、最終的には全て米ドル/円の過去5年の平均値である5年MAを割れるまで下落が続いた。
具体的には、2002年から始まった米ドル/円の下落は5年MAを1割下回るまで、また2007年から始まった米ドル/円の下落は5年MAを2割下回るまで、そして2015年から始まった米ドル/円の下落は5年MAを5%下回るまで続いた(図表2参照)。

足下の米ドル/円の5年MAは130円程度なので、これを前提に考えると、今回の下落トレンドで米ドル/円がこの先5年MAを5~20%下回るなら、104~123円程度まで米ドル安・円高になるという計算になる。