先日、青学講堂で開かれたビット・バレー・アソシエーション主催のフォーラムで、伊藤穣一さん、作家の田中康夫さんとパネル・ディスカッションをしました。その時の議論の一つにNPO的な形の、例えば寄付という形の出資的行為の是非がありました。現状のベンチャー・キャピタルによる出資行為が、対象となるネット・ベンチャーのビジネス・プランや意義とかを必ずしも解さない、あくまでも金銭的リターンを狙っての行動になりがちであり、そうであれば却って寄付的な出資行為の方がより良い方向にベンチャー・ビジネス群を導くのではないかという議論です。私はこの点については違う立場をとっています。一個人、もしくは一団体による寄付的行為は(それが仮に例えば国によるものであっても)、一見美しい調和を創り出すようで、然しながらある一個(人・団体)は常に正しくはあり続けられず、やはりマーケットという仕組みの中でこそ恣意を排除して予定調和に到達できるのではないかと私は思います。今の日本のマーケットが、正常、健全、効率的に機能しているかという議論と、マーケットという仕組みの是非の議論は違う問題だと思います。マーケットの仕組みを尊重しながら、マーケット自体の運営や参加者の意識を改善することなどにより、マーケットの機能を良くして行くことが大切だと思います。