伊藤忠などが支店を持たないネット上の決済専門銀行「イーバンク」を設立するとのことです。ここにきてネット・バンクは異業種、既存の銀行、双方からの参入によりにわかに賑やかになってきました。私が一番気になるのは決済の部分です。これからイー・コマースが伸びて行く中で、決済の方法は大きなテーマです。恐らくいろいろな方式が提唱され、その優位性を競うことになるでしょうが、決済方式はそもそもいわゆるデ・ファクトであり、その善し悪しではなく、どれがもっとも実際に使われるかで決まるものだと思っています。「円を国際通貨にしよう!」と叫んでも意味がありません。みんながドルを使うから、ドルが国際通貨なのです。決済とはそういうものです。日銀のRTGS(即時決済システム)の導入もだんだん迫ってきてますし、日本の決済スタンダードの行方はしばらく目が離せませんね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。