158円はトランプ政権2期目「最後の円安」?

トランプ政権1期目の値動き

トランプ氏は2016年11月の米大統領選挙で勝利し、2017年1月20日から正式に大統領に就任した。この大統領選挙勝利後に米ドル/円は急騰、約1ヶ月後の12月には118.6円まで上昇した。これは「トランプ・ラリー」と呼ばれた動きだった。

ただ結果的には、この118円を高値として、その後米ドル/円は下落に転じた。2017年2月20日、政権がスタートして丸1ヶ月が経過した日の米ドル/円終値は113.1円。その以前には一時111円台まで下落する場面もあった。

つまり、政権開始1ヶ月後の米ドル/円は、政権がスタートする前に記録した高値から5%程度の下落となったのだった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日米10年債利回り差(2016年~2020年)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

今回、トランプ政権2期目の値動き

今回はトランプ政権2期目が正式にスタートする前、1月に米ドル/円は158.8円まで上昇したが、1月20日の大統領就任式を前後しやはり下落に向かった。そして政権スタートから1ヶ月後の2月20日には一時150円割れとなった(図表2参照)。

高値からの最大下落率は、すでに見てきた政権1期目のケースと同じように5%以上に拡大したわけだ。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2024年9月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

1期目と2期目、似たような値動きになる理由

トランプ大統領の経済政策は、関税引き上げや大型減税など、いかにも金利上昇リスクが高そうだ。このため、金融市場がその先取りに動くことから、「米金利上昇=米ドル高」は前倒しで実現しやすいだろう。

ただ一方向の相場の動きには、基本的には限度がある。このため、すでに見てきた政権1期目のケースでは、正式に大統領に就任した後はむしろ「米金利上昇=米ドル高」先走りの修正を試す動きになったということではないか。そして、政権1期目とここまでの米ドル/円のプライスアクションがある程度似ているというのは、似たような構図で展開していることが確認できるのではないか。

トランプ政権1期目において、正式に政権がスタートしてから1ヶ月以上過ぎる中でも、しばらく米金利低下、米ドル/円の下落が続いた。米金利はトランプ大統領の選挙公約の大型減税が成立すると上昇が再燃したものの、米ドル/円はその後も下落傾向が続き、結果的にはあの「トランプ・ラリー」の米ドル高値・円安値は、トランプ政権1期目を通じて超えられなかった。

政権2期目開始から1ヶ月経過したこれまでのところ、すでに見てきたように米ドル/円の値動きには1期目とある程度の類似がある。この先もそのような類似が続くなら、これからのトランプ政権2期目の4年間を通じて、米ドル高・円安はすでに1月の158円で終わった可能性が出てくるだろう。