世界的に見ても極めて大型、かつ頻繁な債券の発行体である世界銀行が、今回インターネット上で30億円の資金調達を行ないました。これはただ単にネット上で注文を受付けるだけでなく、起債内容の説明から、起債後の流通市場におけるトレーディングまで、全てネット上でも行なうという初めての完全な形での「ネット起債」でした。興味深いのは、個人投資家の参加が通常に比べて多かったのは言うまでもありませんが、北米、ヨーロッパ、アジアとで、ネット注文の利用率が大きく違うことです。通常の形での注文も含めた全体に占めるネット注文の比率が、それぞれ82%、47%、1%でした。インターネットは利用して初めて価値があります。いまどきの機関投資家でインターネットに接続されていない会社があるとは思えませんから、各国におけるインターネットを利用しようという意識の違いが表われていると思います。まだまだ道のりは遠いのでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。