皆さん良く御存じの鉄腕アトムによると、確か西暦2000年頃には大体の仕事はロボットがしてくれていて、人間は創作活動とかに多くの時間を割き、余裕のある生活を送っている筈でした。ところが現状はそうではありませんね。コンピュータ技術は大きく進歩しましたが、必ずしもそれが人間に余裕を余分に与えるために使われているとは限らない気がします。効率は明らかに向上しているのでしょうが、それが人間の脳をより休ませず、余裕のない形で働かせる方向に振れている気がします。効率が2倍になった時に、2倍の仕事をするのか、2分の1で仕事を終えて、残りの2分の1で新しい創作活動をするのか。IT技術の使い方の方向性は、このいずれかの間にあるのでしょう。コンピュータにのまれないように気をつけたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。