靴には左右の区別があり、履き違えると当然すぐに分かります。でも子どもが大人の靴を左右履き違えても、左右の逆には気付きません。明らかに違うものであっても、ものさしのサイズが違うと、その差を計ることができない訳です。足が大きくなって(理屈で言うと靴が縮んでも構いませんが)、初めて左右の違いに気付いたり、或いは爪先に穴が開いていることに気付いたりします。企業の価値についても同じことが言えるでしょうか。企業の価値は、簡単に言えば純資産価値と、将来にわたる期待収益を現在価値に割引いたものの和になるでしょう。期待が大き過ぎると、大き過ぎる靴のように、計測不可能になってしまう気がします。ちゃんと足にあった靴を選びたいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。