先月、人々の寿命に関する新たな論文がネイチャーで発表され話題となっています。S.ジェイ・オルシャンスキー教授他のこの研究によれば、20世紀を通じて、高所得国では、出生時の平均寿命が約30年も延びました。これは主に公衆衛生の改善や医学の進歩によるものでした。
ところが、1990年以降、平均寿命の改善の速度が落ちているというのです。今後も、100歳を超える人の割合は、女性で15%、男性で5%を超える可能性は低く、生物学的老化のプロセスを何らかの方法で大幅に遅らせない限り、今世紀に人間の寿命を大幅に延ばすことは不可能とのこと。もちろん、まだ反論異論も出てくるでしょうが、100歳の悠々自適生活を想像していただけに、ちょっと衝撃を受けました。
そういえば、私の祖母は97歳まで生きましたが、母は一昨年84歳で亡くなりました。スポーツ好きで、寝込んだ姿を見たことがない人だったのに…全然科学的ではありませんが、最近のニュースでも、案外若くして病死される方が多い気もします。
だとすると、投資の世界にあふれている「人生100年時代」や「長生きリスク」というキャッチフレーズは、必ずしも正しくないのかもしれません。案外長生きできないのだとすれば、お金は使わないで資産を増やす一辺倒では、死ぬ間際に後悔するかもしれません。
もちろん、投資が不要ということではないのですが(特に、これはマネックスのコラムですし)、いかに資産を増やすかとともに、年齢に応じたお金の使い方も研究する「金融ジェロントロジー(金融老年学)」をもっとよく知る必要があると実感したニュースでした。