直前まで0.25%の利下げが市場のコンセンサスでしたが、9月FOMCでは0.5%の利下げが決定されました。今回の会合ではFOMCメンバーらの経済金利見通しが示されましたが2024年末の失業率見通しが6月の4.0%から4.4%に引き上げられており、FRBは労働市場の減速に対してビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)にならぬよう意思表明をしたものと見られます。

確かに8月2日に発表された7月雇用統計では失業率が4.3%に上昇、労働市場の減速が明らかとなっているのですが、米国経済は決して弱くありません。米国の第2四半期のGDPは3.0%に上方改定されていますし(改定前は2.8%)、GDP予測モデルとして知られるアトランタ連銀のGDPナウは、第3四半期のGDPを2.9%と予測しています。(9月23日時点)失業率は2023年4月の3.4%のボトムから1%も上昇しているのですが、米景気が冷え込まないのは何故なのか?

まだ確度の高い検証は出来ないものの、ChatGPTなど生成AIが米国の労働生産性の向上をもたらし始めたのではないか、という話が出てきました。要するにAIに仕事を奪われた労働者が出始めた可能性があるということですが、仕事はAIがこなしてくれるわけですから、労働者の数が減っても企業業績の悪化には繋がりません。つまり、失業率が上昇しても景気悪化とはならない?!もしこれが米国で本格的に起き始めているのだとしたら、サームルールなどこれまでの景気後退シグナルが機能しなくなっているかもしれませんね。