賃上げの影響からか、個人消費は非常に堅調

今回は消費セクターに関連する話題です。

現在の日本経済においては個人消費が非常に堅調です。8月中旬に発表された4-6月GDPの第1次速報値は、前期比+0.8%、年率換算で+3.1%の高い伸びとなりました。

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項目ごとに見ると、経済の伸びを牽引しているのは個人消費で、前期比+1.0%と5四半期ぶりのプラスを記録しました。GDPへの寄与度では0.6ポイントにもなります。

日本でも物価の上昇が著しく各家庭では生活防衛に走り、無駄な出費は控えられているとされています。しかも8月は記録的な猛暑に襲われ、大雨や台風の被害も全国各地で相次ぎました。各家庭の消費は下降線をたどっても不思議ではないところです。

それが予想に反して堅調な消費支出となって表れています。その理由は想像するに、今春に実施された30数年ぶりの高い賃上げの好影響だと思われます。雇用者報酬は3年ぶりに前年比でプラスに転じました。

これを受けて政府は8月の月例経済報告において、国内の景気判断を1年3ヶ月ぶりに上方修正しました。「(一部に足踏みが残るものの)緩やかに回復している」との記述を盛り込んでいます。

現在の株式市場は、8月初旬に起きた歴史的な急落の後の調整局面を迎えています。それでも経済環境がここまで好調であれば、株価の調整も意外と早く終了する可能性があります。売上げ好調の消費関連株をご紹介します。

衣類や生活用品等、暮らしに身近で売り上げ好調な 消費関連銘柄4選

海外出店も多数、メガネチェーンのジンズホールディングス(3046)

メガネ、サングラスのチェーン店「JINS」を展開。企画、生産、流通、販売までを自社で完結する「製造小売」を採用。中間マージンを排し高品質なメガネを適正な価格で供給している。製品価格は5,900円、9,900円、13,900円の3種に絞り込む。店舗数は2024年5月末の時点で国内490店、海外249店(中国175店、台湾60店、香港10店、米国4店)の合計739店に拡大している。紫外線カットのサングラス、PCやスマホのブルーライトをカットするメガネも若者を中心に人気を呼ぶ。

【図表1】ジンズホールディングス(3046)の週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月12日時点)

世界的なブランド「無印良品」を展開する良品計画(7453)

シンプル、機能的、低価格の「無印良品」は世界のブランドとして独自の価値観を確立。生活雑貨、収納家具が人気の中心だが、最近はスキンケア製品、日用消耗品、食品が売れ筋。1989年の会社設立以来、製品の企画・開発・製造・流通・販売までを手がける「製造小売」を追求。コロナ禍を経て店舗数の拡張路線に戻る。2024年5月末の時点で1,275店(国内611店、海外664店)を有する(2023年8月末比で+87店)。店舗は単に製品を販売するだけでなく、その地域のコミュニティセンターとしての役割も担う。今期は3年ぶりの最高益更新の予想。

【図表2】良品計画(7453)の週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月12日時点)

靴の小売店エービーシー・マート(2670)は今期も最高益更新の見通し

靴の小売店「ABCマート」を国内外で展開。自社ブランドである「Hawkins」をはじめ、「NIKE」、「adidas」、「New Balance」などの知名度の高いブランドとの連携も強固。ABCマートでしか手に入らない限定商品の販売も戦略的に行い、他社との差別化を図っている。店舗も中核となる「ABC-MART」に加えて、出店エリアに合わせて高級シューズ「GRAND STAGE」、スポーツ系シューズ「ABC-MART SPORTS」など新業態を多数投入。店舗数は2024年3月末で国内1,090店、海外394店(韓国319店、台湾62店、米国8店、ベトナム5店)となった。今期も連続して最高益更新の見通し。

【図表3】エービーシー・マート(2670)の週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月12日時点)

子ども衣料・用品の西松屋チェーン(7545)は首都圏への出店を再び強化

ベビー服、子ども衣料・用品をロードサイドの大型店で提供。店舗数は2024年5月の時点で全都道府県を網羅する1,120店に拡大した。猛暑のこの夏は小学校高学年向けの衣料が好調。雑貨部門でも紙おむつ、粉ミルク、レイングッズ、玩具、ほ乳瓶なども順調に伸びている。低価格を実現するために、商品の品ぞろえ、店舗のレイアウト、商品の棚割り、店舗オペレーションまでをすべて標準化してコストカットを徹底。PB商品のウエートを高めている。最近は首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)を中心に再び出店を積極化。今期は3年ぶりに最高益更新の見通し。

【図表4】西松屋チェーン(7545)の週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年9月12日時点)