このところ日本株が伸び悩んでいます。昨日、ピクテでこうした下期の波乱についてセミナーをさせていただいたところ、終了後も大変熱心なご質問をいただきました。
株価は、様々な政治経済、そして移ろいやすい市場のムードの結晶です。これらの要素が予想できない以上、株価についても、いつ、いくらになるか予想することはほぼ予想不可能です。但し、市場の方向性、特に、行き過ぎと暴落の予兆については、多くの人が調査研究していて、ヒントを提供してくれています。
例えば、日本銀行は、半期ごとの金融システムレポートで「ヒートマップ」を提示し、1980年代以来の様々な市場の過熱、冷え過ぎを分析しています。今年の年初には日本株に一旦過熱シグナルが点灯していました。
また、株価と名目経済成長率との連動も手掛かりになります。いわゆる「バフェット指数」の考え方です。生成AIについても、個別株のでこぼこはありますが株式全体でみれば平準化されます。技術力が本物ならば、経済を押し上げていくことになるので、やはり株価と経済の成長率は連動していくのが自然です。実は今の日経平均は、1950年からのGDPのトレンド線からは若干上振れています。日経平均がさらに数千円上昇するという見方も出ていますが、GDP成長率がもう少し上昇しない限り行き過ぎと思われます。
もうひとつ、市場のマインドに注目し、株価変動の激しさを見るという方法もあります。相場が上昇してくると、その分、市場はどこまで上値が追えるのか疑心暗鬼になります。その心理は、変動周期の短期化に現れます。春先の4万円達成後は少し怪しい動きがありましたが、今の変動周期は再び沈静化している印象です。
これらのデータを見る限り、今のところはまだ大丈夫に見えますが、これから大統領選や金融政策の転換等、不確実性が満載です。ショック指標などにも注意しながら、不透明な相場を切り抜けていきたいですね。