史上最高値を更新したTOPIX

7月4日、TOPIX(東証株価指数)は1989年につけた史上最高値を更新しました。日経平均はすでに3月の段階で史上最高値を更新していましたので、かなり遅れての現象ですが、日経平均よりも市場全体を示すTOPIXが最高値を更新した意義は大きいと考えます。

「ダイバージェンス(逆行現象)」という相場用語があります。相場(価格)の値動きとテクニカル指標などの動きが逆行する現象です。例えば、天井圏で価格は上昇が続いている一方、勢いを示すモメンタム指標などが低下し始めることです。また、よく似た2つの指数が違う動きをすることもダイバージェンスという表現を使います。

ダイバージェンスが発生すると、それまでの相場が転換する兆候とされており、天井圏で発生すると「弱気のダイバージェンス」、底値圏で発生すると「強気のダイバージェンス」という言い方が一般的です。

最近までは、日経平均が高値を更新したにもかかわらず、TOPIXが高値を超えられない状態が続きました。相場が調整局面に入る弱気のダイバージェンスを懸念する動きが続いていたわけですが、それが短期的に解消されたことになります。

一方で、TOPIXが6月17日の安値を起点に上昇し、25日移動平均線を上回ったのが6月25日です。25日移動平均線を上回ると物色にも広がりが期待されるところなのですが、6月26日~7月8日までの間でプライム市場の値上がり銘柄数が1,000を超えたことがない、というのも違和感があるところです。いかに、特定の主力株だけで指数を押し上げている様子なのかがうかがえます。

安川電機は大幅安へ、ダイバージェンスの視点で捉えた場合

安川電機(6506)の株価が週明けに大幅安となりました。同社が7月5日に発表した25.2期1Q(3-5月)の連結営業利益は前年同期比32.4%減の111億円で着地しました。市場予想を大幅に下回った他、減益率の大きさに反応したように思います。

ただ、株価は業績悪を織り込んでいました。日経平均やTOPIXは3月の高値から4月安値まで調整し、4月安値を割り込まずに、再び高値更新の動きになっています。その一方、安川電機は決算発表前の段階ですでに4月の安値を割り込む動きになっていました。

ここで何が言いたいかというと、まだ市場全体が同じ方向を向いていない状況であるということです。これをダイバージェンスと捉えると、足元の指数上昇は短期的にはそれほど長くは続かず、再び日柄調整の局面入りに入ることも想定しておくべきでしょう。