2024年4月24日(水)8:50発表
日本 2024年3月企業向けサービス価格指数

【1】結果:前年比+2.3%の結果、サービス価格は堅調に推移

前年比 +2.3%(+2.1%)
前月比 +0.8%(調査無し)
(%、カッコ内はBloomberg集計による市場予想中央値)

企業向けサービス価格指数の前年比は市場予想を0.2%ポイント上回る結果となりました。先月2月の公表値2.1%からも0.1%ポイント上昇しており、2024年に入ってから引き続きサービス価格の上昇トレンドが確認できる内容となりました。

【図表1】企業向けサービス価格指数の推移(単位:%、2021年~)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:今後の注目は輸送・郵便の価格推移の動向

企業向けサービス価格指数は、企業物価指数に分類されますがサービス価格は人件費、つまり賃金に影響するものとして注目される指標です。日銀もインフレの基調を確認するにあたって、第2の力と言及している賃金指標に繋がるものです。2023年8月頃から8ヶ月連続で、前年比2%を超えて推移していることもあり、サービス価格は堅調に推移していることがわかります。

内訳も見ると、2023年は情報通信(主にソフトウェア開発やインターネット付随サービスなど)のサービス価格が上昇しました。また、その他の項目に分類される宿泊サービスも今回の速報値では前年比+28.0%とインバウンド需要を受けて大きく上昇しています。今後の注目点は、昨今のエネルギー関連のリスクから輸送・郵便価格指数の推移で、想定以上に上振れる可能性があります。

【図表2】企業向けサービス価格指数前年比 寄与度分解図
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:雇用の不足感もあり、今後のサービス価格は2%超で推移か

2024年の春闘の回答が出揃い始めていますが、直近の第4次集計でも賃上げ率5.2%と中小企業を含め高水準の賃上げが達成できる見込みです。サービスへの価格転嫁が今後のカギになることは言うまでもありませんが、今後も上昇していく見込みが高いと考えられます。

その主な理由は、雇用の不足感によるものです。厚生労働省が2月に発表している労働経済動向調査では、多くの業態で人手不足感が示唆されています(図表3)。とりわけパートタイム労働者では、上記でも言及した宿泊業、飲食サービス業では70を超える結果となっています(図表4)。人材獲得のためにはある程度値上げ(≒賃上げ)が必要です。そのため、サービス価格は今後も2%超で推移する可能性が高いと考えられます。

【図表3】産業別正社員等労働者不足状況及び労働者過不足判断DI
出所:厚生労働省よりマネックス証券作成
※ 青の網掛け部分がサービス業
【図表4】産業別パートタイム労働者過不足状況及び労働者過不足判断DI
出所:厚生労働省よりマネックス証券作成
※ 青の網掛け部分がサービス業

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太