大黄金展をご存知ですか?全国各地の有名デパートで開催される仏具や茶道具、工芸品など精巧な金製品の展示販売会で、百貨店にとっては富裕層集客が見込める大人気イベントです。このところのゴールド上昇で人気はさらに過熱していると思われますが、4月11日、日本橋高島屋で開催されている大黄金展で金の茶碗が盗まれたと報道がありました。盗まれた茶碗の販売価格は1040万6000円。茶碗の加工代があるため純粋な金の価格ではありませんが、4月11日現在の大手地金商の金1kgの店頭販売価格は1268万6000円。金1kgに相当する価値の茶碗があっさり盗まれたのです。

しかしずいぶんゴールドは上昇しました。20年前の日本の金先物価格の4月の価格は1g1300円台でしたので、1kg130万円程度。今の金先物価格は、11500円ぐらいなので、20年でおよそ9倍になりました。

なかなか利下げできない強い米国経済。金利高は本来であればゴールドの売り材料ですが、足元では高金利でもゴールドは連日史上最高値を更新しています。このロジックはそれほど難しいことではありません。米国ではインフレ再燃リスクが浮上しはじめましたがインフレをヘッジするのは「資産の保有」です。長期化する金利高は株式市場への悪影響となる可能性があるため、最後の受け皿となるのはゴールドだろうという見方が台頭しているのだと考えられます。

スーパーインフレといえばジンバブエ。2000年代に100兆ジンバブエドル紙幣が発行されたことで知られていますが、結局無価値となったジンバブエドルは発行停止に。その後は米ドルを使っていましたが2019年にあらためて自国通貨を導入。しかし、この新ジンバブエドルも急落しており、激しいインフレに苦しんでいます。

そこで、ジンバブエ中央銀行は2024年4月初旬、実物としての価値を持つゴールドと外貨準備に裏付けされた新たな法定通貨ジンバブエゴールド(ZiG)を発行しました。金に裏付けされた通貨、ということは「金本位制」に回帰するということでしょうか。しかし、ジンバブエの外貨準備高はそもそも大きくないですし、ゴールドもあまり保有していなかったように記憶しています。(少なくとも世界の中央銀行の金保有ランキング100位以内には入っていない)果たしてジンバブエに金を裏付けとした通貨発行は可能でしょうか?この新通貨政策がうまくいくとは思えませんが、やはりインフレヘッジするにはゴールド、ということなのでしょう。