日銀の政策変更の発表後、金融機関の預金金利の引き上げが相次いで発表されました。既にその前からキャンペーンを始めているところもあり、一部では、円定期にもかかわらず、年率2.0%(税引き前、預入期間は3か月)などという破格の高金利を提示するような金融機関も出始めました。

こうした高金利はごく短期的かつ例外的な現象では、という声もありますが、今後は案外、金融機関の戦略格差が広がると思います。

これまでの日本の預金金利はとにかく低位で、この10年余りインフレに負け続けています。マイナス金利では仕方ないと思うかもしれませんが、日本以上に深いマイナス金利だったユーロ圏の銀行預金金利は、日本よりも高い水準にありました。理由は、日本は競争過多の影響等で貸出金利が低いことに加え、国内運用先の利回りもゼロに近かったため、預金を集めるモチベーションが金融機関に少なかったためです。

しかし、マイナス金利解除と金利の先高観でだいぶ風景が変わりつつあります。さらに地方では、人口減少がこのまま続けば預金が減少に転じる可能性もあるため、預金獲得の動きが活発化すると考えられます。

投資先の選別には時間をかけていても、預金の預け入れ金融機関については無頓着だった方も多いのではと思います。これまではそれが合理的でした。預金金利の金融機関間の格差は、100万円を1年預けても10bp=1000円程度など、ため息が出るような小ささでした。しかし、今後はそれなりに選び甲斐がある違いが出てくると思います。投資関連の情報に加えて、金融機関のサービスや預金金利を改めて見比べてみても良いかもしれません。