日経平均が大幅高になったポイントとは

1月10日から16日の日経平均は大幅高となり、ついに33年11ヶ月ぶりとなる36,000円を取引時間中につけましたが、日足チャートを見ますと、急角度で上昇しているのが分かります。

このような上昇をファンダメンタル分析で予測することは難しいと思われますが、テクニカル分析では可能です。では、なぜ大幅高になることがテクニカル分析で予想可能なのでしょうか。ここで、前回のコラムで解説したことを踏まえながら確認したいと思います。

前回のコラムでは、「上向きの5日移動平均線上を維持すること」が上放れのカギと解説しました。そして解説した通り、2023年7月3日の高値を更新した1月9日の翌営業日も上向きに変化した5日移動平均線上を維持すると、大陽線を形成して終える結果となりました。

また、1月10日には窓をあけて上昇し、株価水準を切り上げましたが、さらに1月11日も窓をあけてそのまま株価水準を切り上げているのが分かります。そして今週1月15日になっても上昇が続き、1月16日に反落するまで、結局6連騰しています。

つまり、上向きに変化した5日移動平均線上を維持していたことが大幅高になったポイントの1つと考えられるのです。

とはいえ、「5日移動平均線上を維持していても、今回のように急上昇にならない場合もあるのではないか」と、考える人もいるでしょう。では、なぜこのような大幅高に繋がる場合と繋がらない場合があるのでしょうか。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

もち合い期間の長さが重要

そこで注目されるのが、もち合い期間の長さです。日経平均は2023年7月3日に高値をつけた後、2024年1月9日に終値で高値を更新するまでおよそ半年間、31,000円前後から33,500円前後のレンジ内での値動きとなっており、もち合い期間が約半年も続いています。

このもち合い期間に、上下どちらにトレンド発生するのかはっきりしなかったため、売買エネルギーが溜まっていたのではないかと考えられます。

そのため、1月9日に終値で高値を上回った翌営業日以降に、溜まっていたエネルギーが一気に市場に流れ込み、株価の上昇に繋がったと考えられるのです。

テクニカル分析では、もち合い期間の長さが長ければ長いほど、上限や下限をブレイクしてトレンドが発生した時、ブレイクした方向に強いトレンドが発生することが過去の経験則として一般的に知られているため、株価の先行きを予測することができるということになるのです。

モメンタムの急上昇にも注目

そして大幅高になったもう1つの要因がモメンタムの急上昇です。前回のコラムでは「モメンタムとシグナルの両方が、0ライン上で上向きに変化して上昇するようですと、もち合いの上放れから上昇トレンドが発生して株価の上値追いが視野に入る」と解説しましたが、チャートを見て分かる通り、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ライン上で上向きに変化すると、急上昇しているのが分かります。

このようにモメンタムとシグナルの両方が急上昇したところからも上昇の勢いが強くなっていると判断でき、2本線の急上昇が始まったことに加え、上向きの5日移動平均線上を維持しているという2つの条件を満たしたと確認できたことから、値幅を伴う急上昇が発生すると予測することができるようになるのです。

さて、そのような中、シグナルは上向きを続けていますが、モメンタムが急低下してシグナルを下回っています。そのため、今後の展開が気になるところです。

引き続き、5日移動平均線上を維持できるか。また、モメンタムとシグナルが高水準を維持できるかが、上昇トレンド継続のカギになると思われます。そのため、高値掴みにならないよう、また売り時を逃さないよう注意したいところです。