9月19日、7月1日時点の基準地価が発表されました。2年連続で上昇とメディアで大きな話題になりました。不動産好きを自負する私としては、あれこれ数字を眺めて楽しめました。
しかし、この基準地価、改めて何のために行っているのか、不思議に思った方も多かったのではないでしょうか。つい半年前に、似たような1月基準の「公示地価上昇」のニュースもありました。基準地価調査は、1974年に成立した「国土利用計画法」に基づき始まったものですが、その前から公示地価の調査は行われていました。なのになぜ追加の基準地価の開示を始めたかというと、時はまさにバブルの走り。別名を「地価凍結法」などとも揶揄されたこの法律のもとで、この基準価格に地価を固定しようという狙いがあったとされます。
とはいえ、今や基準地価にそのような趣旨は全くなく、昨日来の報道を見る限り、今の効果はむしろ逆でしょう。基準地価の上昇が大きなニュースになったことで、地価を一層押し上げる可能性があると思います。もちろん、地価は下落するよりは若干上昇した方が、資産効果等を考えてもベターだと思いますが、もともとの趣旨から考えて基準地価が今後も必要かどうかは疑問もあります。公示地価は2人の鑑定士が評価、基準地価は1人以上の評価が必要ということで相当の費用もかかっています。一方、取引データという意味では、民間も様々なデータを充実させていますし、国土交通省でも、四半期ごとの地価LOOKレポートや、月次・用途別の不動産価格指数などを発表しています。
昔からの制度を変えるのはなかなか難しいものですが、昨日来の数々の報道を見て、改めて時代に則した制度の見直しは重要と感じました。