先週の上海総合指数、深セン総合指数は、キプロス問題でアジアの株式市場が調整含みの株価推移となる中、3月20日(水)に大きく反発し、その後週末まで堅調な推移が続いています。上海総合指数の株価チャートを見ると、ぴったり50日移動平均線まで反発してきたところです。20日(水)に株価が上昇した要因はいくつかあります。1つは国営の中国証券報が2012年の中国五大銀行(中国工商銀行(香港市場証券コード:01398)、中国農業銀行(01288)、中国銀行(03988)、中国建設銀行(00939)、交通銀行(03328))の純利益総額が前年比12%増になる見通しと伝えられたことです。

もう1つは中国人民銀行の顧問が、中国のインフレは減速しており、早期の金融引き締めにシフトする必要性は限られるとコメントしたこと。これにより、中国経済に対する楽観的な見方が広がりました。更にもう1つあげるとすると、上海総合指数、深セン総合指数の株価が調整局面に入ってから約1ヶ月が経過し、そろそろ反発局面に入るのではないかという市場心理があると思います。いずれにせよ、先週、香港株式市場が軟調に推移したことと比較すると、中国人投資家は外国人投資家に比べ、中国経済の先行きを楽観的に見ているように感じます。

上海総合指数のこれまでの株価チャートの流れを振り返ってみると、2013年2月の初めに、中期的な上昇局面に入った目安の1つと考えられる、50日移動平均線が200日移動平均線を上に突き抜けるゴールデンクロスが起こりました。しかし、それに反して2月上旬から不動産を中心とした引き締め政策が発表されてくると株価は調整基調に。しかし約1ヶ月の調整を経て3月20日(水)は反発し、50日移動平均線まで反発してきたところです。株価チャートの判断的には、ここが正念場といったところで、50日移動平均線を株価がこのまま上に突き抜けてくれれば良いのですが、50日移動平均線が上値抵抗線となって株価が下落に転じ、200日移動平均線を下に突き抜けていくようだと、下落相場入りした可能性が出てくることになると思います。今後のポイントはやはり中国政府による政策で、株価の支援材料となりうるような政策が出てくるかどうかに今後の株価の行方はかかっていると思います。

コラム執筆:戸松信博