東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となりました。152円高の31,300円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分弱で276円高の31,424円まで上昇した後一旦伸び悩みました。しかし、大きく押すことなく堅調に推移すると後場に入り一段高となりました。大引け間際に407円高の31,555円まで上昇した日経平均は結局376円高の31,524円で取引を終え年初来高値を更新しています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
エーザイ(4523)が一時5.2%高となり年初来高値を更新しました。米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」を管轄する米メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が米バイオジェン(BIIB)と共同開発したアルツハイマー病治療薬の「レカネマブ」に関する声明を発表し、米食品医薬品局(FDA)が条件付きの迅速承認としているレカネマブを完全に承認した場合はメディケアの適用対象にするとしたことで大幅高となりました。
本決算を発表した伊藤園(2593)も一時3.3%高となりました。経済再開でタリーズコーヒー事業が伸びることや、前期に赤字だった海外事業も黒字転換が見込まれることなどで2024年4月の営業利益が前期比で7.2%増となる見通しを示したことから買いが優勢となりました。松屋(8237)も5.7%高となりました。富裕層による高額消費が好調に推移したことなどで5月の銀座本店の売上高が前年同月比39.4%増となったことから買いを集めました。
また、投資判断や目標株価の引き上げを受けてダイキン工業(6367)やソフトバンクグループ(9984)が高く、ダイキン工業が目標株価の引き上げを受けて3.4%高となったほか、ソフトバンクグループも投資判断と目標株価の引き上げを受けて4.3%高となり、ダイキン工業とソフトバンクグループの2銘柄で日経平均を81円押し上げています。一方で東証スタンダード市場ではワークマン(7564)が5.0%安となりました。手袋などの作業関連商品やアウトドアギアが低調だったことなどで5月の既存店売上高が前年同月比2.3%減と2ヶ月連続で前年割れとなったことから売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は376円高となりました。米下院が連邦政府の債務上限を停止する法案を可決したことなどで米債務上限問題への警戒感が和らぎ昨日の米国市場が反発したことから大幅高となり、5月30日に付けたバブル崩壊後の高値(31,328円)を更新しました。前場には5月の米雇用統計の発表を日本時間の21時30分に控えていることから伸び悩む場面もありました。しかし、昼前に米上院が連邦政府の債務上限を停止する法案を可決したと伝わったことから後場に一段高となり節目の31,500円を小幅に上回って取引を終えました。そのため地合いの堅調さが強く意識されそうで、先高期待が一段と高まりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)