米国のバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長は27日、連邦政府の債務上限の引き上げで基本合意した。複数の米メディアが報じた。これで当面の大きなリスクが一歩後退した。完全にリスクがなくなったわけではない。まだこれから議会を通すプロセスが残っており、共和党の保守強硬派などの反対が根強く、議会通過も難航しそうだ。イエレン議長が「Xデー」としたデフォルト(債務不履行)期日まで残りの時間は少なく、綱渡りの状況がまだ続く。
とは言え、市場にはいったん、安堵が広がるだろう。週明けの東京市場は先週末の米国株市場の大幅高・円安進行に加えて、このニュースを好感して大幅続伸で始まりそうだ。先週末のシカゴ日経平均先物は31500円で引けた。東京市場で31500円の節目を越えて、どれだけ上値を終えるかが注目される。
しかし、さすがに市場では過熱感も高まっている。先週金曜の東京市場でも半導体株高にけん引されて日経平均は上昇したがTOPIXは小幅安だ。もはや全面高という状況ではなくなっている。一部のハイテク銘柄主導の株高もそろそろ一服して良い頃合いだろう。
先週末に発表されたPCEコアデフレータ―が強かったこともあり、米国では利上げ継続の観測が高まっている。金利上昇で米国株が崩れるシナリオを警戒したい。その意味でも強い経済指標の発表は要注意だ。週後半は月替わりして6月1日のISM、2日の雇用統計と重要指標の発表が続き、目が離せない。
日経平均に代表される大型・主力株が好調に買いを集める一方、新興市場は軟調でマザーズ指数は下放れが顕著になってきた。仮に日経平均が上昇一服となれば、新興市場に資金が回帰するかどうかも注目したい。ただし、この相場は外国人主導ということを考えると、たとえ日経平均の上昇が止まったとしても、流動性の観点から小型・新興株に外国人の買いが向かうとは考えにくい。
予想レンジは3万500円~3万1800円とする。