先週の上海総合指数と深セン総合指数は反落。週初は小幅高となったものの、ほぼ8ヶ月振りの高値となったことを受けて、週後半は利益確定売りが入りました。中国では旧正月が近づいてきており、旧正月前の利益確定売りという見方も出てきています。旧正月は西暦では毎年元旦の日付が変わりますが、2013年の旧正月の元旦は2月10日(日)となります。旧正月は約1週間の長期連休となるため、その前に持ち株を整理しようとする投資家が多くなるため、毎年のアノマリーとして旧正月前は売りが膨らみやすくなる傾向があります。

しかしながら、中国経済は堅調に推移しています。先週の材料としてはHSBCが発表した中国製造業景況指数(PMI)があります。1月の確報値は51.9となり、速報値の51.5からさらに上昇しました。外需は依然として弱い基調ですが、内需主導による中国経済の回復は引き続き続いているようです。先週はその他、温家宝首相が中央銀行である中国人民銀行に対し、経済成長への支援を継続するよう求めたとの報道がありました。これは緩和気味の金融調整の継続が示唆されるものと思われ、中国株にはプラスです。さらに、温家宝首相は人民元の国際化を徐々に進めるべきとも呼びかけています。このように中国経済は強い基調が続いていますので、もしも旧正月前に利益確定売りで大きく株価が下落するようなら、そこは投資のチャンスであるという考え方も出来ると思います。

そして先週はもう1つ大きなニュースがありました。中国が人民元適格海外機関投資家(RQFII)に参加できる香港の金融機関の対象を年内にも広げる方針と、上海証券報で報道されたことです。RQFIIとは認定された金融機関が中国本土外で調達した人民元資金で中国本土の株式や債券に投資できる制度です。香港やロンドンが人民元のオフショア取引センターとなる形で人民元の国際化が進んでいますが、RQFII参加対象の金融機関が拡大されれば中国本土の証券市場に資金が流入してくることになりますから、当然ながら上海総合指数と深セン総合指数にとってプラスとなります。今回は具体的な方法は発表されていませんが、今後の上昇材料になってくると思いますので覚えておきたいところです。

コラム執筆:戸松信博