先々週末の1月11日(金)に両指数は大きく下落していました。中国の12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.5%増と発表され、11月の2.0%増や市場予想の2.4%増を上回ったことが原因です。CPIが加速したことから、今後、中国政府がインフレを懸念して景気刺激策を実施しないのではないかとの懸念が拡がったわけです。また、2013年の人民元建ての新規融資の目標額が約8.5兆元と設定されたことも失望となりました。2012年は8.2兆元であり、市場は9兆元程度の目標を期待していたのです。

このような調整基調の流れもあり、12月上旬から両指数は上昇を続けていただけに先週は調整が期待されていたところでした。ところが、先週初め、1月14日(月)の上海総合指数と深セン総合指数は予想に反し、反発したのです。原因は中国証券監督管理委員会(CSRC)の郭樹清主席が、外国人投資家の投資枠を大きく拡大させること可能だと述べたことが原因です。中国A株市場全体の外国人投資家の投資枠は約1.6%に制限されていますが、同氏はこれを9倍に引き上げることもできるとコメントしました。もしも本当に外国人投資家枠が引き上げられれば、外国からの資金流入によって株価は大きく上昇することになるでしょう。

その後は一進一退が続きましたが、18日(金)に中国の第4四半期のGDPが7.9%成長と、第3四半期の7.4%成長からさらに上向き、市場予想である7.8%成長をも上回ったことから、週末は高く引けて終了しています。一方、先週の香港株は一進一退が続きましたが、中国の第4四半期のGDP成長率が好調であったことを好感した上、香港の梁振英行政長官が施政方針演説で、予想外の不動産抑制策を発表しなかった安心感から週末に上昇となり、20ヶ月振りの高値を更新しました。

コラム執筆:戸松信博