3月の日経平均は7.9%の変動
3月相場は波乱となりました。米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻を受けて海外市場に混乱が波及し、日経平均は一時27,000円を割り込む場面もありました。
ただ、日経平均は過去30年程度のデータを振り返ると、3月は高値と安値の変動率は12ヶ月のうちで最も大きくなりやすい傾向があります。それを踏まえると、2023年の3月は肌感覚ではかなり大きく動いた感じがしますが、実際は7.9%の変動と動きのなかった2月の反動程度に過ぎず、特段と違和感はありません。
4月相場、金融株は不利な状況ながらハイテク株の買いは続くのか
さて、東京市場は名実ともに4月相場に突入しました。4月の日本株は12ヶ月のうちで相対的に上昇率が高く、海外勢による資金流入期待が高まる傾向があるのは有名です。
米国市場も4月は相対的に好調な月です。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げ打ち止め期待が高まる中、3月末までの四半期ベースで、ダウ平均は0.4%高と小幅高にとどまりましたが、S&P500は7.0%高、ハイテク株主体のナスダックに関しては16.8%高と2020年第2四半期以来の大幅高となりました。
金融不安を通じて米10年債利回りの上昇が抑えられる中、金融株は需給悪化で不利な状況が続く一方で、ハイテク株の買いは続くのかが4月相場の強さのポイントとなります。逆に、ハイテク株の反動安が生じるようだと、日米ともに4月好調のアノマリーは効かなくなることになるのでしょう。
TOPIXが示す3月の月足ローソク足に注目
TOPIX(東証株価指数)が示した3月の月足ローソク足に注目です。上と下に同じ長さのヒゲを伴う「十字足」を形成しました。厳密には「十字足」ではなく、始値よりも終値の方が若干高いので「陽線」といった方が正解なのですが、上と下に極端に長いヒゲを形成している点では、両者ともに相場の解釈はほぼ同じ、と考えて良いでしょう。
この上と下のヒゲは、上方向にも下方向にもお互いに「往ってこい」の動きになったことを意味しており、売り方と買い方の力がきっ抗していることを示しています。
「十字足」は一般的には相場の基調が大きく変化する兆しを示唆していて、売り方と買い方の勝敗がまもなく決まる(トレンドが発生する)直前に出る分岐足とも言われます。
しかし、今回のように、これだけ極端に長い「ヒゲ」が出てくるということは、売り方と買い方にまだ十分な体力が残っていることになり、勝負はしばらく決着がつかない、そんな形状にみえます。
そのように考えると、4月は依然として両者のにらみ合いが続く可能性が高く、基調が変化するというよりも、3月のヒゲの範囲内でもみ合いとなる可能性の方が高い、と判断できそうです。