2期連続の上昇は今後のマーケットの方向性を見る上で重要

2023年に入ってから3月末まででS&P500は7.03%の上昇。急騰するインフレ対策のための利上げに加え、ロシアによるウクライナ侵攻が起き9.1%下落した1年前の第1四半期とは大きな違いです。

しかも、今回の株価上昇は2022年第4四半期の7.1%の上昇に続くもので、2期連続の上昇となりました。この2期連続の上昇は今後のマーケットの方向性を見る上で非常に大きな出来事かもしれません。と言うのも、過去50年間に起きたITバブル崩壊やリーマンショックを含む3回の米国株のベアマーケットの終わり、つまりブルマーケットの始まりには毎回2期連続の株価上昇が起きているからなのです。したがって、今期の株価上昇は注目に値すると言えるでしょう。

前年のリターンがマイナス、翌年の第1四半期がプラスになると強気の展開が予想される

他にも米国株投資家にとって喜ばしいデータが散見されます。戦後からこれまでのデータを見ると、(1)前年のS&P500のリターンがマイナスだった(2)翌年の第1四半期のリターンがプラスだった場合、毎回その年は米国株の投資家にとってポジティブな展開が起きているのです。

戦後(1)と(2)が起きたケースは10回ほどあり、その後のS&P500の4月の月間のリターンは毎回プラスとなっており、その上昇率は平均2.93%となっています。加えて、4月から年末までの9ヶ月間において毎回S&P500は上昇しており、その上昇率は平均で15.94%という、非常に勇気づけられるデータがあります。

4月の米国株式市場、アノマリーはポジティブを示唆

加えて、今後の米国株式市場を見る上で、無視することができないのがマーケットの季節性です。1928年からこれまでという非常に長い期間において、1年間で最もS&P500が強い3ヶ月というのが7月、12月、4月です。4月については、65.3%の確率でマーケットはプラスとなっており、平均上昇率は1.3%となっています。

【図表1】S&P500月別パフォーマンス(全期間)(期間:1928年〜2022年)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

2023年は大統領任期4年サイクルの3年目です。その場合、月間リターンのパターンが変わってきます。この年1番マーケットが堅調な月は1月ですが、4月については82.6%の確率で指数はプラス(1月とタイ)となり、上昇率は2.55%と(1月の上昇率は3.4%)1年間で 2番目にパフォーマンスの良い月であるというデータがあります。

【図表2】S&P500月別パフォーマンス(大統領任期3年目)(期間:1928年〜2022年)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

投資家心理「弱気」が7割

このようなデータをサポートしてくれるのが、プロの投資家の弱気心理です。米国株式市場が年初から堅調に推移するも、直近で米CNBCが行った投資家への調査によると、ウォール街の投資家の7割近くは、株式市場は今後下落に転じると考えているということなのです。このアンケートは、最高投資責任者(CIO)、株式ストラテジスト、ポートフォリオ・マネージャーなど約400人を対象に、第2四半期および今後の市場についてどのように考えているかを調査したものです。このようなデータは、逆張り指数として使われ、強気の投資家が多いとマーケットは下がる傾向にあり、弱気の投資家多いとマーケットは上がる傾向にあると言われています。

現在投資家の現金比率も非常に高いレベルにあり、このまま株価が上がってくる、または決算発表が思ったほど悪くないということであれば、株を買わざるをえない状況になると考えられます。

今後注目の2つのセクター

ここまで市場全体を牽引してきたのは、GAFAM+NT(GOOGL, AAPL, META, AMZN, MSFT, NVDA, TSLA)に代表されるテクノロジーセクターです。ただ、短期的には上げ過ぎのきらいがあり、裾野が狭いことを指摘する投資家が少なくありません。しかし、今後はこれまで不調だったセクターのサポートが出てくるかもしれません。それにより市場全体の裾野も少しずつ広がってくるでしょう。

2023年、年初から3月10日のシリコンバレー銀行の破綻劇までS&P500は0.32%上昇していました。その過程において、S&P500のヘルスケアセクター指数は9.23%下落していました。その後、ヘルスケア指数は3月末までに上昇に転じ、4.6%上昇しています。

第2のリーマン危機かと恐れられていた銀行セクターですが、S&P500の銀行セクターも先週1週間で4.5%上昇、S&P500の3.48%の上げをアウトパフォームする展開となっています。

S&P500に占めるヘルスケアセクターのウエイトは、テクノロジーセクターに次いで2番目に大きく、ヘルスケアセクターの推移は市場全体のパフォーマンスを決定づける大きな要因となリます。

ヘルスケアと銀行セクターの2つは、S&P500の時価総額のほぼ25%を占めており、この2つのセクターが上昇を継続すれば、マーケット全体もポジティブな展開となるでしょう。