米国株式市場は2期連続上昇

先週、S&P500は3.48%上昇、ナスダック100は3.25%上昇で終わりました。先週末で2023年の第1四半期が終わりましたが、過去3ヶ月間のS&P500は7.03%の上昇、前期2022年第4四半期の7.1%の上昇に次いで2期連続の上昇となりました。

ナスダック100については今期20.5%の上げですが、前回ここまで同指数が上げたのは2020年第2四半期に30%上げた時です。同指数は2022年12月28日の安値からは23.4%上昇しており、ナスダック100は定義上ブルマーケットに突入しました。

投資家がインフレ、FRB(米連邦準備制度理事会)の動向、銀行破綻の影響を恐れている間にブルマーケットがやってきたのです。マーケットは、シリコンバレー銀行の破綻は業界全体に波及するものでなく、あくまでも限定的な中小銀行における危機であり、FRBがこれまでの利上げのスタンスから利下げへと変更するのは時間の問題だと判断しています。

4月の米国企業の決算発表、注目すべきポイント

今回のブルマーケットを牽引したのは、GAFAM+NTに代表される大手グローバルテクノロジー企業でした。投資家は引き続き悲観的な中、2022年株価が下がり過ぎてバリュエーションの観点で魅力的になったことに加え、マーケットの2023年後半の利下げ期待、相対的に景気後退にも強いというGAFAM企業の特性、そして「質への逃避」があったのだと思います。

【図表】2023年第1四半期のS&P500、ナスダック100、GAFAM+NTのパフォーマンス (GOOGL, AAPL, META, AMZN, MSFT, NVDA, TSLA)(2022年12月30日を100として指数化)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

4月17日の週から第1四半期の決算発表が本格化します。現時点でのS&P500の収益は前年同期比で8%の減益予想となっています。 1週間前は7.52%の減益予想でしたから約0.5ポイントの下方修正が起きています。しかし、マーケットは業績の下方修正のトレンドは気にしていないようです。今回の決算が良くないことは織り込み済みなのだと考えられます。

同じ週に大手銀行の決算発表が始まり、その後、地銀の決算発表が続きます。4月最終週にはGAFAMの決算発表が予定されています。

今あるマーケットのリスクとしては、債務上限問題、インフレの行方、雇用、シリコンバレー銀行破綻を受けた銀行の貸し出しの厳格化といった要素をマーケットがまだ織り込んでいない可能性があげられます。また、トランプ前米大統領の起訴を受け、社会的な混乱の可能性も懸念材料の1つとして考えられます。

ナスダック、テクニカル的に見るとポジティブな展開に

テクノロジー銘柄の時価総額が半分を占めるナスダック100は先週3月31日(金)目先の上値抵抗線であった12,881(2月の高値)〜12,944(3月の高値)のレンジをブレイクアウトし、13,181ドルで引けました。これにより、テクニカル的にもポジティブな展開が期待できそうです。次の注目すべき上値抵抗線である2022年8月の高値の13,721ドルを抜くことができるかに注目したいと思います。

S&P500は40週移動平均線を2週間ほど下回って推移していましたが、その後超えたのはポジティブな展開です。今後の展開で注視すべきは上値抵抗線である4,160(2022年6月の高値)と4,195(2023年2月の高値)を抜けられるかです。そこを抜けてくると2022年8月の高値である4,325.28を狙う動きとなるでしょう。