今週(3月24日~3月30日)の相場動向
相場回顧 BTC:堅調に推移するも、強弱材料が混在し上値も重い
ビットコインは金が1オンス2,000ドル付近で上値が重くなると同様に上値を抑えられた。米ファースト・シチズンズ銀行が今月破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の大部分を買収する方向で合意に至り、銀行セクターに対する懸念が後退した。これを受けて金融株が買い戻される場面もあったが、米国金利が上昇する中でビットコインはハイテク株とともに下落した。米商品先物取引委員会(CFTC)が大手取引所バイナンスを提訴したことも売りを強めた。
しかし、米マイクロストラテジー(MSTR)がおよそ3ヶ月ぶりにビットコイン買い増しを発表したこともあり、BTC=358万円(27,000ドル)付近では底堅く推移した。3月29日にはSVB破綻に関する公聴会を通過し、金融不安が緩和されたことでハイテク株とともに買い戻しが強まった。公聴会では当局の監督責任も問われ、銀行規制を強化する必要性が議論された。3月30日には一時BTC=384万円(29,000ドル)まで価格を伸ばしたが、米2月個人消費支出(PCE)の発表を控える中で上値は重くなった。
来週(3月31日~4月6日)の相場予想
BTCは3月米経済指標によって左右される展開か、バイナンス動向にも注視
金融市場では米国の利上げ停止を予想する声と、それを否定する声が入り混じっている。米国銀行の破綻を受けてエコノミストらによる景気後退予想が増える一方で、強い経済指標が続いており、利上げへの警戒感が継続している。銀行破綻の影響を見極めるためには今後の米経済指標の内容が重要であり、来週に発表される3月米雇用統計や3月米ISM関連指標が堅調か否かによって相場は大きく左右されるだろう。米国経済の落ち込みが示唆された場合には、利上げ停止観測と景気不安の逃避買いでビットコインの買いがさらに強まることは考えられる。逆に銀行懸念の後退とともに米国経済の底堅さが示唆された場合には再び売りが強まるだろう。
暗号資産市場では米国における暗号資産規制動向が引き続き注目されている。特に2023年に入ってからは大手取引所バイナンスを取り締まる動きが強まっており、今週の米CFTCによる提訴を受けて同取引所から資産の引き出しが相次いでいる。米国におけるバイナンスの事業継続が困難になり、取り付け騒ぎによって流動性危機が起きた場合には大きな売りに警戒が必要である。
また2023年5月に開催されるG7広島サミットでは国際的な暗号資産規制が議論される予定であり、来月以降も規制動向が相場の重しとなるだろう。一方で、規制が強まる中ではビットコインが相対的な安全資産として買われやすいため、下落局面においても相応に底堅い値動きになると予想する。
水平線で見た時に直近上値としてBTC=384万円(29,000ドル)、同水準を上抜けると昨年5月末の高値付近であるBTC=424万円(32,000ドル)までが意識される。下値としてはBTC=358万円(27,000ドル)を意識する。
※1ドル=132.50円で換算(執筆時)