2023年4月から新国家資格を導入。ペット市場加速に追い風

ペット市場が拡大を続けている。犬や猫などを家族同様に扱うことが増え、ペットフードの高付加価値化や、病院に連れていくケースが増加。ペット保険に加入するケースも多く、金額ベースで市場が増加している。大事にすることでペットの寿命も延びている。

このような環境の下、ペットの看護師制度が2023年4月からスタートする。ペットに関する専門知識や技術力を持ち、獣医師をサポートする国家資格「愛玩動物看護師」が導入され、資格取得者が各地の動物病院で働き始める。

これまでも民間資格の「認定動物看護師」はあったものの、看護師は獣医療行為ができなかった。しかし、新たな国家資格を取得した看護師は採血やカテーテルによる採尿、犬や猫を個体識別するマイクロチップの装着などができるようになる。

特に新型コロナ禍で自宅にいる機会が増加し、ペットを家族同様にみる家庭が増加し、手厚い医療を行うケースも増加している。国家資格看護師の登場は、獣医師の負担を軽減し、ペットの来院数の増加に繋がる可能性がある。

食事や医療など、ペットの飼育支出は増加傾向に

日本ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によれば、2022年は犬・猫の飼育頭数は横ばいで、新規の飼育意向はやや低下傾向としている。

一方、飼育の支出額は年々増加傾向にある。犬では小型犬以上のフードや医療費の増加傾向が大きく、猫でも主食やおやつの支出が増えている。ペットの高齢化や、ペットに付加価値の高い商品を提供する飼い主が多いことが要因とみられる。平均寿命は2010年以降に約1歳延びて、犬14.76歳、猫は15.62歳となっている。

人間と同じように食事に気を使い、ケアのニーズも従来以上に高まっている。こうした中で医療費が増加傾向にあり、それに伴ってペット保険のニーズも増えてきている。

また、MRI(磁気共鳴画像装置)導入や、ICU(集中治療室)を備えた病院も少なからずあるという。アナリストは「新型コロナ禍でペットを飼う人が増加し、絆が深まった面もある」と指摘する。

矢野経済研究所が2022年8月に公表した「ペットビジネスに関する調査」によると、2021年度のペット関連総市場規模は前年比1.8%増の1兆8187億円。ペットフードのプレミアム志向の強まりで、2022年度も同2.1%増の1兆7542億円を見込んでいる。そこで、今回はペット市場に関連した銘柄をピックアップする。

アニコム ホールディングス(8715)

ペット保険の草分け的存在として業界首位。傘下のアニコム損保が担当している。事業が強固である理由は、人間の健康保険と同様に、窓口で保険証を提示すれば自己負担分を支払うだけで済む保険の仕組み「窓口精算システム」を日本で初めて構築したことにある。

基本的に後日清算となり、対応病院は6,500を超えている。日本全国をカバーし、ペットショップと代理店契約を結んでいる。なお、アニコム損保では獣医師の資格を持つ社員が100名以上おり、これは全社員の6人に1人の割合となる。

【図表1】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)

ペットゴー(7140)

ペットの食事療法食などヘルスケア商品をネットで販売。EC化率は9割と高水準。ビジョンは「ペットのQOL(生活の質)向上」。ペットの健康寿命の最大化をミッションに、ペットヘルスケア事業を展開している。ペットフード、動物用医薬品、サプリメント、デンタルケア商品などを扱う。

【図表2】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)

エコートレーディング(7427)

ペット用品、ペットフードの卸大手。「ペット専門商社」として店頭戦略や商品提案の他、売り場の提案、イベントなどを展開。長年蓄積したデータなどを活用し、商圏での犬猫頭数が推測できる証券調査システム「エコーペットエリアリサーチシステム」を活用している。動物看護やトリマーなどを育成する「エコーペットビジネス総合学院」を運営。

【図表3】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)

ユニ・チャーム(8113)

生理用品や紙おむつなどのノウハウを活かしてペット用品に展開。ペットケア関連製品で首位級。かつて傘下のユニ・チャームペットケアは上場企業(今は本体に統合)。2022年11月に中国のペットフード大手JIA PETSに出資と発表している。中国はペットブームで市場が急拡大中。

【図表4】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)

イオレ(2334)

PTA、大学サークル向けなどに、無料のグループコミュニケーションサービスを提供する「らくらく連絡網」が事業基盤。旅やアパレルなどペットに関する多様な情報を提供するペットメディア事業を開始。ペットと泊まることができる宿を探す「休日いぬ部」の他、プロカメラマンによる撮影とランチといったイベント開催なども行っている。

【図表5】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年2月22日時点)

シェアリングテクノロジー(3989)

カギ交換や水回りなど、一般家庭で生じる生活トラブルに関して街の専門業者とユーザーを繋げるマッチングサイトを運営。また、ペット葬儀を自社で開始。暮らしの悩みを解決するポータルサイト「生活110番」から派生した「ペット葬儀110番」はペット葬儀のプロが対応し、顧客満足度98%以上。24時間365日対応、追加料金不要の明朗会計、日本全国受付対応といったサービスで、企業側によれば利用シェアは業界首位を誇っている。

【図表6】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)

ラクオリア創薬(4579)

創薬系バイオベンチャー。犬の変形性関節症に伴う痛みの治療薬や犬の食欲不振・体重減少の治療薬を展開。また、猫では慢性腎疾患体重減少管理薬などを手掛けている。欧米製薬企業が導出し、ロイヤリティ収入を得る。

【図表7】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月22日時点)