年末年始の上海総合指数と深セン総合指数も週間ベースで大幅続伸となりました。12月25日(火)の上昇が特に大きかったのですが、材料としては中国の住宅当局が来年も不動産に関する投機の抑制を目的とした引き締め政策は続けるものの、1回目の住宅購入者や建て直しについては支援する方針を発表したことがあります。このため不動産株が大きく上昇しました。その他、中国の国内保険各社の1-11月の保険料収入が前年同期比7.4%増の1兆4200億元となったことなどが好感され、保険株も上昇しています。

また、12月31日にHSBCが発表した2012年12月の中国製造業PMI確報値は51.5となり、11月の50.5から上昇しています。中国物流購買連合会と国家統計局が1月1日に発表した12月の公式製造業PMIも50.6と、11月からは横ばいであったものの景況感の境目となる50を3ヶ月連続で越える結果となりました。そして、中国人民銀行(中央銀行)は12月28日に中国経済にはポジティブな要素が増えており、インフレについては安定しているとの認識を発表しています。

何度か指摘してきましたが、中国の経済指標・景況感指標、物価、そして電力消費量などの重要な統計データは全て上向いてきています。中国株の大きな上昇相場は、中国が2010年第2四半期前後に引き締め政策に転換して以来、長らく遠のいています。上海総合指数と深セン総合指数は12月に急反発したものの、2012年の世界の主要な株価指数で最も弱かったグループに入ることに変わりありません。つまり、12月は長期低迷からの反発の初期段階と捉えることが出来ると思います。急激な上昇であっただけに株価の調整はあるかもしれませんが、持続的な景気回復を示す中国経済指標の発表が続けば、2013年の上海総合指数と深セン総合指数は世界的に見て、上昇率ベースで相当上位に入る可能性があり、期待できると思います。もちろん米国の量的緩和政策の影響で資金流入が続いている香港株もその影響で2013年は好調な年になる可能性も十分あると言えるでしょう。

コラム執筆:戸松信博