レンジの上限を突破するも、トレンド転換のローソク足の組み合わせが発生

前回のコラムから1週間で大きく流れが変わってしまいました。大きなレンジの上限を突破して3月9日には28,734円をつけるなど、2022年11月24日につけた高値も上回り、同8月26日以来の水準まで上昇しました。

その一方、3月10日には窓をあけて反落して長い陰線が発生して終えているのが分かります。実は、この3月9日の小陰線を中心に、3月8日、10日の間にそれぞれ窓があいているのですが、3月8日の長い陽線と3月9日の小陰線、そして3月10日の長い陰線のローソク足3本の組み合わせを「宵の明星」と呼んでいます。

このローソク足3本の組み合わせは、高値圏で出現するとトレンド転換を示唆する組み合わせとされており、まさに3月9日前後の3本のローソク足が株価の天井を示唆していたことが分かります。

今回発生した「宵の明星」ですが、トレンド転換を示唆するローソク足の組み合わせでは典型的なパターンになります。また、この組み合わせが発生してから3月13日に2つ目の窓、3月14日には3つの窓が発生しており、2月には1つも見られなかった窓が3月に入って、なんと6つも発生してしまっているのです。

3月に入って14日までで10営業日ありますが、その中で6つも窓をあけており、激しい値動きが発生していることを示していると言えるでしょう。そのような中、今回3つ連続して発生した窓ですが、それぞれどの窓と考えれば良いのでしょうか。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

3つ連続して窓が発生しているものの、今後予想される展開とは?

窓について解説される時、3つ連続して窓があくと、直ぐに三空だと言って、「三空買いむかえ」と言った相場の格言を持ち出す人がいますが、今回あけた3つの窓は本当に「買いむかう窓」と考えて良いのでしょうか。

私は違うと考えています。なぜなら、過去の値幅の範囲内で発生しており、それぞれがコモンギャップ(=普通の窓)だと考えられるからです。

一方、緩やかな上向きを続けている200日移動平均線を下回って終えていることから、反発期待は残っているものの、それはあくまでもグランビルの法則にある200日移動平均線がサポートになっているのであって、「三空」が発生したことによる下げ止まりや反発ではないと思われます。

そのため、200日移動平均線上を回復して維持できれば、下向きに変化した25日移動平均線や5日移動平均線辺りまで戻ることが期待されます。その反面、反発しても限定的で、200日移動平均線を下回ったままの状態が続くようですと、1月20日から24日までにあけた2つの窓を埋めることも考えられます。

よって、200日移動平均線を上回って維持できるまでは、リバウンド狙いの買いは控えるようにしたいところです。