世界で注目を集める人工知能、「ChatGPT」の可能性とは

米国発の対話型AIチャットボット「ChatGPT」が話題になっている。これはスマホやパソコンで様々な質問をすると、自然な会話形式でAI(人工知能)が答えるシステムだ。米国のAIベンチャーである「オープンAI」が2022年11月末にインターネット上で公開したもので、公開からわずか5日間でユーザー数が100万人を突破したと言う。

また、2023年1月の月間アクティブユーザー数が1億人に達したとの報道もあった。なぜ、これほどの人気になっているのか?それは、答えの正確性や巧みさが従来のAIチャットに比べて、格段に向上していることが要因である。問いかけに対して、AIが、まるで人間が考えたかのような巧みな答え、きれいな文章で答えるというものだ。こうした動作は「生成AI」とも呼ばれる。

ちなみに、私がChatGPTに「日本経済の見通し」と打ち込んで問いかけた結果は、以下のようになった。回答時間も数分間だった。

2023年の日本経済の見通しについては、以下のような点が挙げられます。
1.コロナウイルスの影響 新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、景気の回復には引き続き時間がかかると予想されています。ただし、ワクチンの普及や政府の経済対策により、徐々に経済活動が回復傾向にあるとされています。

2. 国内需要の回復 内需については、個人消費に加えて、政府による公共投資や中小企業への支援策などが効果を発揮し、回復傾向にあるとされています。また、オンラインでの買い物やテレワークなどにより、新たな消費需要も生まれています。

3.国際情勢の不透明感 米国と中国の貿易摩擦や、グローバルな景気減速など、国際情勢の不透明感が依然として続いています。このため、輸出産業などにおいては引き続き厳しい状況が予想されます。

4.グリーン・デジタル投資の促進 グリーン・デジタル投資に対する関心が高まっており、政府も積極的な支援策を打ち出しています。これにより、新たな経済成長の可能性が生まれるとされています。
総合的に見ると、引き続き不透明感があるものの、内需の回復やグリーン・デジタル投資などにより、日本経済は徐々に回復傾向にあると予想されます。ただし、感染症の状況や国際情勢などによって、見通しは刻々と変化するため、注意が必要です。

これまでのAIが限られたデータから学習しているのに対し、ChatGPTは学習データ量が格段に増えたことが、進化の要因。また、人間が期待するような手法で答えることが可能になった点もポイントだ。もちろん、まだ完璧とは言えず、間違った回答も少なくない。これを問題視する向きもあるが、AIは日々進化しており、今後、ブラッシュアップされていくことになるだろう。

マイクロソフトも積極投資。気になる日本企業の「ChatGPT」関連銘柄とは

ChatGPTは文章だけでなく、イラストや絵画、写真といった画像分野でも急速に広がりつつある。

マイクロソフト(MSFT)はオープンAIに100億ドルを投資し、今後もさらに投資すると報道されている。オープンAIが開発した画像生成AIは、マイクロソフトのクラウド基盤「Azure」での利用も可能とのこと。また、マイクロソフトのインターネット検索エンジン「Bing」に、対話のできるAIを搭載すると2023年2月7日に発表。これもオープンAIの技術を活用する。

米国では画像半導体のエヌビディア(NVDA)、生成AIの製品群を提供するソフトウエア企業シースリー・エーアイ(AI)などの株価が物色されている。そこで、今回はChatGPT関連銘柄をピックアップする。

ユーザーローカル(3984)

ビッグデータの各種解析ツールや人工知能(AI)を使った業務支援ツールを開発提供。2023年1月19日に、同社のサポートチャットポットにオープンAIの対話AIモデルを組み込むことにより、回答内容を高速に自動生成する機能の提供を開始したと発表している。
 
具体的にはオープンAIが提供している対話アルゴリズム(text-davinci-003)をユーザーローカル チャットボットと連携させることで、回答案を自動で生成することが可能になった。これにより、チャットボットのQ&A執筆にかかる時間を半分以下に短縮できるようになったとしている。

【図表1】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月2日時点)

FIXER(5129)

基幹システムのクラウド構築、クラウド移行と保守運用サービスを展開。米マイクロソフトが提供するクラウドのプラットフォーム「Azure」に特化している。

同社は日本で唯一のマイクロソフトの最高位パートナーとして知られている。マイクロソフトは人員の削減を実施する一方で、ChatGPTへの100億ドル強の投資を行うと発表。その後も追加で数十億ドル行うことを表明している。

今後収益の柱に育てたい考えで、米国ではマイクロソフトのクラウド「Azure」への実装も可能になったという。今後、日本でも「Azure」への実装が可能になれば、同社のビジネスチャンスとなる公算が大きい。

【図表2】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月2日時点)

弁護士ドットコム(6027)

ネットでの弁護士向け営業支援や一般向けの法律相談サイトを運営。

弁護士がウェブ上で相談に応じる「みんなの法律相談」などを運営しているが、オープンAIの自動応答システムChatGPT使ったサービスを開始すると2023年2月14日に発表している。

同社が保有する累計100万件以上の法律相談データベースや、月間1000万人以上の利用データによる法律相談ニーズの活用により、新規の相談者に対し対話形式で状況を確認することで、それぞれの状況に適した「相談」の回答を行うなどを検討している。

【図表3】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月2日時点)

ポート(7047)

就職活動のノウハウ記事を提供する「キャリアパーク!」などキャリア系、ファイネンス系、メディカル系のネットメディアを運営。

2023年1月30日に、ChatGPTを活用したインサイドセールス自動化への検証を開始したと発表している。インサイドセールスとは見込み客に対して非対面で行う営業活動のこと。エネルギー領域での問い合わせ対応システムの提供を検証する。

土日や深夜時間帯などにユーザーからの電気やガスなどの問い合わせがあった場合、現状ではインサイドセールスの対応が困難で、翌営業時間内に再アプローチをしている。ChatGPTを活用することで即時の案内が可能になり、対応力が向上することで成約率向上に寄与することを期待できる。

【図表4】週足チャート
出所:マネックス証券ウェブサイト(2023年3月2日時点)

※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。