陰線の多さは何を示しているのか
2月に入って日経平均株価の陰線の多さが目立っています。陰線とは、始値よりも終値が安いローソク足のことを言い、逆のパターンは陽線と言います。陰線が黒、陽線は白で表すことが多いです。(図表のi-chartでは、陽線が赤、陰線が青)
そこで、陰線の数を数えてみると、2月14日までの10営業日で、8営業日も陰線が発生しているのが分かります。
この陰線の多さは何を示しているのでしょうか。陰線は始値よりも終値が安いローソク足になりますが、陰線が発生した場合、取引終了にかけて、売り圧力が強まったと判断するのが一般的です。
そのため、2月に入って、これだけ陰線が発生している状況を考えますと、非常に売り圧力が強いと考えることが妥当と思われます。しかし、株価の水準を見ますと、売り圧力が強いと考えられる陰線が大量に発生していても、株価水準は切り上がっており、高値圏での推移が続いています。
では、このように陰線が多く発生しているにも関わらず、株価が下落しないのは、なぜなのでしょうか。
陰線の多さとトレンドは別なのか
そこでポイントになると考えられるのがトレンドです。前回のコラムでは200日移動平均線について解説しましたが、2月14日現在で200日移動平均線は上向きに変化しています。2月13日に下落して下ヒゲを形成した場面では、まさに緩やかな上向きに変化した200日移動平均線がサポートになって、株価の下落を下支えしています。
200日前の株価水準を見ると、終値は27,553円となっており、その後の株価は低くなっているため、200日移動平均線上を維持できれば、200日移動平均線の上向きが継続することが予測できます。
さらに、200日移動平均線の下にある25日移動平均線も25日前の株価水準を見ますと、26,449円と2月14日の終値よりも低い水準となっており、今後も25日移動平均線の上昇が続くことになります。
こうした状況から、余程強い売り圧力が発生しない限り、当面200日移動平均線や25日移動平均線が株価のサポートになることが考えられ、陰線の多さをトレンドがカバーする状況になるのではないかと考えられるのです。
上昇するための条件とは?
では、上昇するためにはテクニカル的にどのような状況が必要なのでしょうか。それは、株価(=ローソク足)が、5日移動平均線や25日移動平均線上を維持することだと思われます。
仮に下向きの5日移動平均線上を維持するようですと、5日移動平均線が上向きに変化して、サポートになることが期待される他、株価の押し上げにもつながることが考えられます。
また、5日移動平均線を割り込んだ場合でも、上向きの25日移動平均線で下げ止まるようであれば、株価の上昇トレンドが継続することになり、下向きの5日移動平均線を上回ることが考えられるとともに、反発に向かうことも視野に入りそうです。
ただし、ここで注意したいことがあります。それは、大きなレンジの上限まで上昇した場合、2022年12月15日と16日の窓を埋めることが想定されますが、その後も価格を維持できるかということです。
5日移動平均線や25日移動平均線上を維持できれば、株価水準の切り上げとレンジの上限突破が視野に入る反面、レンジの上限に接近して5日移動平均線を下回るようですと、急落する可能性が出てきますので、高値掴みにならないよう、また売り時を逃さないようにする必要が出てくるのではないでしょうか。
移動平均線の向きやローソク足の形などから現状を分析するとともに、先行きを予測して、売買判断に役立ててほしいと思います。