半導体株やダウ輸送株が上昇、ダウ平均もまもなく上放れるか
米国株式市場をシンプルに現状分析すると、下の図表にある通り、2022年10月以降の主要指数は戻り歩調にあります。その中でも、最近の特徴は景気に敏感な半導体株指数やダウ輸送株の上昇が目立っていることです。
足元で米国の長期金利が上昇しても、株価がそこまで大きく下がらないのは、景気が思ったほど落ち込まないことを織り込んでいるためとみられます。
相場の転換点などで、ダウ輸送株がダウ平均に先行する傾向があることを踏まえると、やや出遅れ感のあるダウ平均もまもなく上放れる、つまり足元の水準を抜けて、上昇の勢いが増してくる展開が予想できます。
ダウ平均より勢いがあるナスダック、日本企業の株価も年初から上昇傾向へ
ナスダックは2022年、米国株の立ち直りが始まった局面で、十分に戻し切れなかった影響が、現時点でのパフォーマンス格差に大きくあらわれています。
しかし、2023年に入ってからは、ダウ平均より勢いがあります。企業決算の下方修正を織り込みながら上昇する株式相場を不安視する声もありますが、「相場は相場に聞け」という格言もある通り、インフレ沈静化によるリセッションの回避、早期の景気持ち直しを織り込む動きとも言えそうです。
その一方、日本企業も下方修正が増えていますが、株価は年初から上昇しています。日経平均は2022年8月高値を起点に、11月高値を通る右下がりの抵抗線のフシまで上昇しています。
このフシを超えれば強気サインが1つ増えることになりますが、上値が重くなってきているのも確かです。短期的には抵抗線で頭を抑えられ、調整局面入りも予想されます。
日経平均の上昇継続のカギは、ナスダックの持続力次第
日経平均の上昇が続くかどうかのポイントは、ナスダックの上昇の持続力次第だと思われます。最近では、日経平均は円安が追い風、円高は逆風という雰囲気が値動きから伝わってきます。しかし、当面は日米金融政策の不透明要因から、売り買い交錯で米ドル/円の変動はむしろ小さくなる可能性があります。
ハイテク株主体のナスダックと、値がさハイテク株の影響を受けやすい日経平均の相関係数(9週)をみると、2022年の9月以降、ほぼプラス1付近で推移しています(プラス1に近づけば連動性が高く、マイナス1に近づけば逆の動きをする傾向が強い)。
これはナスダックが下げるときは日経平均も同じように下げるという見方にもなります。先週末時点でナスダックは3日続落でした。2022年11月と12月につけた戻り高値を通る抵抗線まで調整しており、ここから反発できるかどうか。今週のナスダックの動向はとても重要だと感じます。