先週も上海総合指数と深セン総合指数は続落で4年振りの安値をつけました。先週もいくつかの懸念材料がでています。まず、深センの創業板の上場企業の株主が来年から持ち株を売却できるようになるとの話題があがっており、株式市場の供給過剰が懸念されました。また、国営の新華社通信が中国の2013年のGDP目標成長率が7.5%に据え置かれる可能性が高いことを伝えましたが、足もとの経済指標が中国経済の底打ちを示していただけに、7.5%以上の目標が期待されていたため株式市場にはマイナスに受け取られました。そして結果として上海総合指数が心理的抵抗線となる2000ポイント下回り、市場心理をさらに悪化させています。

その反面、株価が下落を続ける中で下値を拾う動きも出ており、先週金曜日には上海総合指数と深セン総合指数は共に反発。材料としては李克強副首相が都市化は内需拡大のための最大の潜在力であり、今後数年間も重点分野であり続けるといったここ最近の一連の発言が、中国政府がインフラ投資を加速させるのではないかという期待感につながったことがあります。実際のところ、建設株やセメント株が上昇しており、12月に行われる予定の中央経済工作会議において何か材料が出てくることが期待されています。

一方、香港株は比較的堅調な株価推移が継続しています。米国のQE3実施以降、米ドルとペッグ制を取る香港ドルに多額の資金が流入し、中央銀行である香港金融管理局(HKMA)は1米ドル=7.7500~7.8500香港ドルのレートを維持するために多額の香港ドルを売却しており、これが香港の銀行システムに流入し、株式市場を支える要因となっています。先週はこれに加えて米国株の上昇が支援材料となりました。上海総合指数と深セン総合指数は中央経済工作会議で何らかの政策が出てくるのを待つ状況が続きますが、香港株は資金流入圧力が継続的にかかる見込みであり、引き続き堅調な足取りになることが期待されるところです。