前回、中国共産党大会で政治改革に最も積極的であった李源潮氏と汪洋氏が政治局常務委員に選出されなかったことが株式市場にとって悪影響を与えたと書きました。
しかし先週は温家宝の後を引き継いで首相に就任する見通しの李克強氏が改革の深化こそが中国の発展における最大のボーナスだと強調し、資源配分で市場にさらに大きな役割を持たせ、経済について国民の発言力を高めるべきだと述べました。先週は横ばいだった上海総合指数と深セン総合指数はこの発言を受けて週末に小幅上昇となり、週の取引を終えています。このように株式市場は政府の改革的な動きを期待しています。
一方、香港H株指数は先週後半から急反発に転じています。こちらの方は米国株が急反発に転じたことや、HSBCが発表した11月の中国製造業景況指数(PMI)速報値が50.4と、10月の確報値である49.5を上回った上、景況感の境目である50を1年1ヶ月振りに上回ったことが好感されました。中国経済の底打ちへの期待感が膨らんだ格好です。また、一部の投資家には中国が預金準備率引き下げに動くとの期待もあったようです。もっとも、先週後半の急反発で11月の初めからの株価調整が終わったと見る投資家も少ないようで、市場は引き続き新指導部による新たな金融緩和策や景気刺激策を期待している状況と言えます。
その他の大きなニュースとしては、11月21日の人民日報に李克強氏が論文を発表。この中で産業のレベルアップや都市化による内需拡大が図られるべきであるという点などが指摘されています。中国共産党大会でも外需依存からの脱却と内需拡大の重要性が強調されており、今後も引き続き内需拡大を狙った刺激策や、産業のレベルアップにつながる7大戦略的新興産業(省エネ(エネルギー効率)・環境、新エネルギー、バイオ、次世代情報技術、最先端機械設備、新エネルギー自動車、新素材)への支援は続くものと見られ、関連銘柄に注目できると思います。