今週(1月13日~1月19日)の相場動向

相場回顧 BTC:一時21,500ドル付近まで上昇するも、景気後退懸念により上値は重い

ビットコインは、米12月消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことで米利上げ継続への懸念が後退し、米国株も買いが強まる中で上昇した。アルトコインの強い値動きにも後押しされ、上値として意識されたBTC=244万円(19,000ドル)を上抜けると、ショートカバーによる買いも相次いでBTC=270万円(21,000ドル)付近まで急騰した。ビットコインの上昇を受けて、マイニング関連企業をはじめとする暗号資産関連株価も大きく上昇した。16日は米国市場休場の影響もあってビットコインはもみ合いとなったが、休場明けにはテスラなどのハイテク株が上昇し、同様にBTC=276万円(21,500ドル)付近まで価格を伸ばした。

18日には日本銀行が金融緩和政策維持を決定し、長期金利の変動幅も±0.5%に据え置かれたことで為替などのボラティリティが高まったが、暗号資産市場への影響は限定的となった。しかし、その後に発表された米小売売上高、鉱工業生産等が市場予想より弱かったことから、利上げに伴う景気後退懸念が強まり、米国株とともに下落した。米司法省が暗号資産関連の国際執行措置をライブ発表する前には、大手暗号資産取引所バイナンスなどが対象ではないかとの思惑も広がり、投げ売りが強まった。ジェネシスの破産申請やコインデスクの事業売却などのニュースもあり、デジタル・カレンシー・グループ(DCG)への懸念も再燃した。

 

来週(1月20日~1月26日)の相場予想

BTCは景気後退も意識される中で上値の重い展開か、テスラ決算に注目

金融市場ではインフレ鈍化への期待と景気後退への不安が入り混じる相場となっている。米国では消費者物価指数に続いて生産者物価指数もピークから低下しており、利上げペースの減速への期待から投資家のリスクオンが強まっている。一方、12月小売売上高が市場予想以上に大きく落ち込んだことから、オーバーキルを懸念する声も出ており、今後は企業業績や個人消費の動向に市場の関心が移ると思われる。来週からは2022Q4の米国企業決算発表が本格化し、ハイテク株や金融株を中心とする各社業績に相場は一喜一憂するだろう。テスラ決算におけるビットコイン売却有無や暗号資産への言及には注目したい。また米個人消費関連指標の発表を控えており、個人の購買意欲の低下などが意識された場合には売りが強まることもあるだろう。

暗号資産市場では暗号資産関連企業への信用不安が根強く残っている。金融市場におけるリスクオンが強まる中でビットコインは上昇傾向にあり、これに合わせてアルトコインや暗号資産関連株も価格を伸ばしている。しかし、米司法省による暗号資産関連の発表前に思惑的な売りが強まったことから、バイナンスやデジタル・カレンシー・グループ(DCG)など、これまで経営状況悪化が報じられた暗号資産関連企業への懸念が強いことが見受けられる。これらの懸念が解消されるまでは本格的な上昇が起こることは難しく、上値の重い展開が続くと考えられる。

直近上値としてBTC=276万円(21,500ドル)、下値としてBTC=238万円(18,500ドル)を意識する。

※1ドル=128.50円で換算(執筆時)