今週(1月6日~1月12日)の相場動向

相場回顧 BTC:利上げ懸念が後退し、米国株とともに堅調

ビットコインは米12月雇用統計の賃金鈍化などを受けて利上げ懸念が後退し、米国株とともに買いが強まった。暗号資産コングロマリットであるデジタル・カレンシー・グループ(DCG)の経営状況悪化や、暗号資産関連企業の大規模リストラなどへの懸念から売りが強まる場面もみられた。

しかし、次期大型アップデートのテストネット公開時期が明らかとなったイーサリアムをはじめ、アルトコインが強い値動きになると、ビットコインも連れ高して上昇した。市場の楽観視に注意を呼びかける米当局者のタカ派寄りの発言も目立ったが、米12月消費者物価指数(CPI)の発表を前にインフレ減速への期待が高まり、米国株に並んで堅調に推移した。ストックホルムで開かれたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長講演で経済や金融政策の見通しについての言及がなかったことも安心感につながった。

その後、FTXグループの更生手続きで50億ドル超の流動資産が確認され、その一部が債権者への返済に充てられるとの期待もあり、1月12日には急騰してBTC=236万円(18,000ドル)を回復した。米12月CPIは市場予想通りながら前年同月比6.5%と伸びが鈍化した。これを受けて市場では2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げペース減速の見方が強まり、1月13日にかけてBTC=246万円(19,000ドル)付近まで価格を伸ばした。

 

来週(1月13日~1月19日)の相場予想

BTCは不透明感は残るも世界的なインフレ鈍化が意識されて買いが強まる可能性

金融市場では米国における利上げ継続懸念が後退し、リスクオンが強まっている。米12月雇用統計では賃金鈍化でインフレのピークアウトが示唆された一方で、雇用については引き続き堅調であったことから過度な景気悪化懸念も後退している。来週は日欧の12月消費者物価指数の発表を控えており、これらの内容を受けて世界的なインフレ減速が印象付けられれば株式とともに買いが強まることは考えられる。

また日銀金融政策決定会合ではイールド・カーブ・コントロールの追加修正発表が警戒されている。暗号資産への直接的な影響は小さいだろうが、日銀黒田総裁の発言前後にはボラティリティが高まるリスクに注意したい。

暗号資産市場では暗号資産関連企業の大規模なリストラが続いている。デジタル・カレンシー・グループ(DCG)の経営状況を巡る不安も消えない中、短期的には相場にネガティブな影響が及ぶだろうが、人員削減を発表したコインべース【COIN】の株価が上昇したように、中長期的には事業継続の観点で好感されることもあるだろう。またFTXグループに関して、SBF氏の初公判が秋口となったことで事件解決は先延ばしとなったが、更生手続きが着々と進められており、最悪期は脱したようにみえる。依然として不透明感は残るものの底が意識されて買い戻しが強まることはあるだろう。

直近上値としてBTC=246万円(19,000ドル)付近、この水準を上回ればBTC=272万円(21,000ドル)付近までの上昇も期待できる。直近下値としてBTC=207万円(16,000ドル)付近を意識する。


※1ドル=129.50円で換算(執筆時)