中国共産党大会が終了し、中国の新政府の内容が明らかになりました。当初の予定通り、習近平氏が政治局常務委員会と中央軍事委員会の主席に選ばれ、来年前半に胡錦濤氏から国家主席を引き継ぐ見込みです。また、新しく政治局常務委員に選ばれた李克強氏が温家宝の後を引き継いで首相に就任する見通しです。ここまでは順当と言えるのですが、株式市場にとっては好まれない内容もありました。具体的には政治改革に最も積極的であった李源潮氏と汪洋氏が政治局常務委員(7名で構成される)に選出されなかったのです。これは保守派が幅を効かし、中国での政治改革の進展の停滞を示すことを意味します。

一方、新しい経済指標としては、中国の金融機関を除く国有企業の1-10月の合計利益は前年同月比で8.3%減となり、1-9月の11.4%減から改善したと中国の財務相が発表しています。しかし、依然として企業収益の状況は厳しいものであるとする見方が強いようです。またこれとは別に、共産党大会前で控えられていたIPO(新規株式公開)が、共産党大会終了と共に一気に再開され、市場から資金を吸い上げるとの懸念も出てきました。こうしたことから先週の上海総合指数と深セン総合指数は大幅下落となり、上海総合指数は7週間振りの安値となっています。

プラスのニュースとしては中国政府の株式投資に関する長期投資奨励策の発表があります。具体的には2013年1月1日から、1ヶ月以上株式を保有する場合に配当について減税され、さらに1年以上保有する場合には一層の減税が適用されるという内容です。ただ、中国株は配当性向が高いものとは言えませんし、2012年11月16日時点で、指数平均で見た配当利回りもハンセン指数の3%以上に対し、上海総合指数は2%台となっており、この政策による株式浮揚効果は限定的であるように思われます。いずれにせよ、新指導部の顔ぶれが決まったこともあり、引き続き次なる政策待ちの状況が続きます。