昨年同様に、年内最後のコラムでは、この1年の振り返りと2023年の相場予測をお伝えしたいと思います。

2022年の相場を振り返って

2020年頃から、BTC(ビットコイン)をはじめ、暗号資産はナスダック先物指数との連動性が高まりました。BTCが史上最高値を付けた2021年11月に、ナスダック先物指数も史上最高値を付けていました。その後、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策の転換やロシアによるウクライナ侵攻に伴う化石燃料の高騰、物流コストの増大、世界的なインフレに大きく影響を受け、BTC価格は大きく下落。一時780万円前後を付けたBTCは11月にはFTXショックを受けて220万円まで急落しました。

ただし、4年前と違って、市場の流動性は圧倒的に豊かになり、世界中から資金が流入しているため、金融アセットとしての地位を確立し始めていると言えるでしょう。

【図表1】BTC/JPY 2022年チャート
参考:CXRエンジニアリング株式会社作成

コロナショックで一時40万円台まで下落したことを考えると、BTCは2022年に下がったとは言え、しっかりとマーケットに存在感を示したと感じています。

2022年の暗号資産業界の大きな出来事として、テラショックとFTXショックが挙げられます。これらの出来事を機に2023年は分散型金融システムの在り方が見直される年となるのではないでしょうか。2022年の暗号資産市場は本当に激動の1年だったと感じます。

2023年BTC/JPYマーケット予想

【図表2】BTC/JPY 週足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPYは年初から第1四半期中に下値を更新し、ボトムを探る展開になると予想します。
下値を更新する理由としては、
・米ドル/円の大幅下落
・中国で新型コロナウイルス感染拡大に伴い経済再開が3ヶ月遅延する
・上記起因により、世界中で四半期GDP成長率が低下する
・リセッション入りの確度が高まる
ことが挙げられます。

中国の製造業の停滞により、物価のさらなる上昇にも注意しておかなければなりません。コロナショック後、世界各国の体力は弱まってきているため、新興国などでデフォルトが起きる可能性にも注意が必要だと思います。

その後、第2四半期から価格が回復傾向に戻り、2024年2-3月頃に発生する可能性があるとみられるBTC半減期への期待で価格上昇するイメージです。物価のさらなる上昇期においては、資産としてBTCの本質的な価値が問われることになると思います。ここでBTCの存在感に私は大きく注目しています。このタイミングで価格が上昇すれば、資産クラスの中でBTCの地位をさらに押し上げることに成功するでしょう。

2023年ETH/JPYマーケット予想

【図表3】ETH/JPY 週足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてETH/JPYの2023年の相場予想です。

やはり一番大きなポイントとなるのは、イーサリアム・ネットワークのコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行したことでしょう。それに伴ってマイニング量が減り、市場への供給量が減少しています。暗号資産市場が下落するなかでもETHが底堅く推移し、年初来安値を更新していないのは、この影響が大きいと考えています。

この底堅い推移は2023年も続くと思われ、次の上昇サイクル時にBTCの時価総額に追いつく瞬間があるかもしれません。そういった期待感から私は2023年1-3月期に買いのチャンスを狙っています。

ETHの価格については、米ドル/円の下落の影響を受けて、年初は12万円付近まで下値を押す展開を予想しています。まだFTXショックの余波が続いており、米証券取引委員会(SEC)から厳しい追求があるように思います。DeFi市場は徐々に規制が進むでしょう。ステーブルコインの取扱いもより厳しくなるのではないでしょうか。

いずれこういった課題を乗り越えて世の中に浸透していくでしょう。BTCとETHはこれからも存続すると考えており、景気後退期にはBTCやETHに資金が集まりやすいと考えています。私は他のアルトコインへの投資は避け、2023年もこの2つに焦点を絞ってトレードする予定です。

2022年は予想以上に下落しましたが、2023年は良い買い場を探す展開となりそうです。