米ドル/円は円高反転の動き

米国の消費者物価指数の市場予想を下回る結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースの減速期待が再び強まっています。急速な米長期金利の低下を受けて、米国のナスダックは10月25日の戻り高値(11,199ポイント)を上回り、「ダブルボトム」を形成しました。それは日本株にとっては追い風としても、円高への反転を警戒する必要がでてきました。

米ドル/円相場は一時151.94円と32年ぶりの高値を更新する場面がありましたが、大きなフシに概ね到達したようです。10月25日付けのコラム「米ドル/円は重要水準か」で取り上げましたが、2015年6月高値→2016年6月安値までの円高値幅の26.77円を2倍にして、円安方向に当てはめた倍返しのV計算値は152.62円となります。

また、2011年10月安値→2015年6月高値までの円安値幅50.30円を過去の習性値幅とし、2020年3月安値に足すと151.47円となります。直近高値151.94円は、151.47円~152.62円のレンジに入っていますので、概ね到達したと言えます。

そのため、足元の円高反転は当面の調整を示唆する動きとみられます。過去の高値のフシが重要(過去の高値が安値になるという理屈)とすれば、2007年6月高値124.16円~2015年6月高値125.85円か、2002年1月高値の135.10円までの円高進行が予想されます。

円安調整の可能性

一方、中長期的な視点からは、円安局面が終わったと判断するのは時期尚早です。最近、もう150円はいかないのか?という質問を頂くこともありますが、急速に円高が進む中で、あまりにもかけ離れた水準もどうかと思います。

しかし、直近高値の151.94円を上回る円安はあるとみています。2011年10月安値75.55円を起点とした大勢N字波動(2段上げパターン)で考えた場合、上述した倍返しのV計算値や過去の習性値幅を概ね達成した後、次に目指すのは最終目標であるE計算値です。

E計算値は、176.15円程度です。2011年10月安値→2015年6月高値までの円安値幅50.30円を、2015年6月高値から円安方向に当てはめた水準です。

ただ、124~125円台まで調整が深まると、2024年あたりでも難しくなります。条件としては、2002年1月高値の135.10円前後までの調整で済んだ場合とみています。この場合、2023年は難しいかもしれませんが、2024年あたりには到達している、というシナリオはありでしょう。