新たに窓が発生し、上昇ウェッジ型を上値抜けか?

前回のコラムでは「急落して下降トレンドが発生する可能性があるもち合い」=「上昇ウェッジ型」について解説しました。

実際の値動きを見ますと、11月4日に窓をあけて下落すると取引時間中にウェッジ型のサポートラインや下向きの200日移動平均線を下回る場面がありましたが、終値では上回って終える結果となりました。

また休み明けの11月7日に反発に転じると、11月2日と4日にあけた窓を埋めるとともに株価水準を維持して終えました。それにより、11月8日には窓をあけて5日移動平均線と75日移動平均線を上回って始まると、その後上げ幅を広げる展開となり、ウェッジ型のレジスタンスライン(抵抗線)を上回って終える結果となっているのがわかります。

このような状況から急落の可能性があるウェッジ型のレジスタンスラインを上抜けた可能性が出てきていると考えられそうです。ただ、そのためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

上向きの5日移動平均線や75日移動平均線上を維持できるか

1つ目は一旦上抜けたレジスタンスライン上を維持することです。そうすれば5日移動平均線の上昇が続くとともに、現在下向きの200日移動平均線も上向きに変化することが期待されます。

2つ目は11月7日と8日の間に発生した窓を埋めないことです。ちなみにこの窓はどの窓と考えられるでしょうか。

この窓も過去の値幅の範囲内で発生していることから、コモンギャップ(=普通の窓)ではないかと考えられます。仮に埋めるようですと75日移動平均線や5日移動平均線を下回ることになります。ウェッジ型のレジスタンスラインを突破したままで推移するためには、この窓を埋めることなく推移する必要があると思われます。

そして、3つ目は仮に上昇が続いた場合、大きなレンジの上限の水準である28,500円台を回復して維持することです。

3月と6月に28,500円台をつけて押し返された時の200日移動平均線は下向きでした。今回は200日移動平均線が上向く可能性があるため、3度目の正直で上抜くことが期待されます。

一方で、レジスタンスライン上を維持できずに割り込んでしまうとともに11月7日と8日に発生した窓を埋め、その後レジスタンスラインや75日移動平均線と5日移動平均線を下回ったまま上回ることができずに推移するようですと、今度は75日移動平均線が下向きに変化してきてしまうことが考えられます。

そのため、3月29日や6月9日、8月17日や9月13日に高値をつけた後のように、急落して安値をつけに行くことが考えられ、売り時を逃さないようにする必要があると思われます。

今週は年末高に向けた兆しが見えるようになるのか、あるいは大きなレンジでの値動きが続くのか、重要な分岐点に差し掛かっていると思われますので、売買タイミングには注意したいところです。