11月4日(金)に発表された米雇用統計は失業率がわずかに悪化したものの、雇用者数は市場予想を上回り、賃金上昇率もまずまずでした。結果が発表されて数十分後から米ドルの下落が始まり、米国株式市場と暗号資産市場は上昇しました。

米ドル買い・株ショートに傾いていたポジションが指標発表後、一気に米ドル売り、ショートカバーに転じたようです。暗号資産市場は11月4日(金)〜5日(土)に高値を付けて、ジリ安の展開が現在(11月7日午前執筆時点)まで続いています。

先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文は12月会合の利上げ幅縮小の可能性を示しています。パウエルFRB議長の記者会見で2023年のターミナルレート(利上げの最終到達点)は市場が予想しているよりも高くなるだろうというメッセージを残し、12月会合では利上げ幅を縮小するものの、利上げはまだ断続的に続く見通しを示唆しました。

これを受けて市場が乱高下した後に米雇用統計が発表されました。よって、ポジションの傾きがより複雑になっていた背景からの値動きだったのかもしれません。

今週、9日(水)の昼過ぎ(日本時間)には米国の中間選挙の結果が出ることもあり、マーケットは新たな方向に進むのではないかと感じています。そして翌10日(木)には10月の米CPI(消費者物価指数)の発表が予定されています。この結果次第で暗号資産市場の今後の動向がはっきりとしてくるのではないでしょうか。

本日もチャート分析を見ていきましょう。

BTC(ビットコイン)、三角保ち合い突破も勢いに欠ける展開

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析から始めます。

長らく低迷していた三角保ち合いを少し上に抜けてきましたが、2営業日目で失速しています。本日(11月7日)、このまま陰線で終える場合は、再びこの三角保ち合いに回帰するため、上昇失敗となります。勢いよく成功する時はたいていこのようなフォーメーションから大きなローソク足が出現して断続的に続くものです。そのため本日も陰線、または実態の短いローソク足で終える場合は、上昇失敗となるでしょう。従って利益確定を一定の割合で入れておく方がよいかもしれません。

テクニカル的な形状はまだ悪くありません。ただ、先日のFOMCや米雇用統計の結果を踏まえると、利上げペースは減速するものの、利上げ期間が長くなる印象ですが、マーケットはまだその失望感を完全に織り込めていないと考えています。よって、この三角保ち合い下限ラインに戻っていく可能性のほうが高いと思いますので、もう一往復押し目買いを狙うスタンスに変更です。

ETH(イーサリアム)、上昇するも失速の可能性

【図表2】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPY日足チャート分析に移ります。

BTCよりも圧倒的に勢いがありましたが、先日の高値を超えられませんでした。失速が著しくなる可能性があるので、こちらも同様に一部利食いで様子見の姿勢を強める格好がよいと考えています。

11月7日~8日にかけて4日の大陽線始値を下回るようならば、4日の上昇を全否定しますので、ネックラインを割れた時は大きく値を下げる可能性が高そうです。10日(木)に発表される10月の米CPIが市場予想を上回る、または前月の結果を上回る場合、急落リスクがかなり高まります。

9月の米CPIは8.2%上昇(前年同月比)でしたが、今回の予想は8.0%上昇です。下げ止まり感が出てきますと、利上げ減速論が後退しますので、株式市場や暗号通貨市場に重しとなるでしょう。

今週は米国の中間選挙とCPIの結果次第で上昇の可能性があるものの、大きく下落する可能性もありますので、慎重姿勢で臨みたいところです。BTC、ETHともに買い目線を継続しつつも、9-10月に仕込んだ収益を一部利益確定するイメージで考えています。