モトリーフール米国本社、2022年10月9日 投稿記事より
主なポイント
・パブマティックは、顧客が中小の競合他社との関係を減らす中、売上を伸ばすことができる理想的なポジションにいる
・ブロックは、利益率の高いキャッシュアップのエコシステムにおいて、グローバル展開の加速が見込まれる
各々の市場でシェア拡大が期待される2銘柄
米国株式市場は、今後5年間で大幅に上昇すると予想されます。約100年間の実績データに基づくと、その可能性は十分にあります。直近の高値から20%以上下落すると弱気相場と呼ばれますが、平均的な弱気相場の期間は9~12ヶ月です。そして今は、その真っ只中にあります。
対照的に、平均的な強気相場な何年も続き、5年後の今頃は次の強気相場の最中にあって、市場は今よりも上昇している可能性があります。そのため、今後5年間で市場をアウトパフォームするのは簡単ではないかもしれません。それどころか、いつの時代でも市場をアウトパフォームするのは簡単ではありません。しかし、パブマティックとブロックは、それを成し遂げてくれると思われます。
パブマティック:市場シェアが拡大
デジタル広告業界で上場企業と言えば、需要サイドのプラットフォームを手掛けるトレード・デスク(TTD)や、供給サイドのプラットフォームを提供するパブマティックなど、ほんの数社しかありません。しかし、未公開企業を見ると、需要サイドと供給サイドの双方に多くの企業がひしめき合い、同じ顧客を巡って競い合っています。この業界は、投資家が考えているよりもはるかに競争が激しく、市場シェアが重要です。
パブマティックが成長している方法の1つに、サプライパスの最適化があります。ブランドやパブリッシャーは、同時に数十社ものアドテック企業と仕事をすることがあります。多くの広告企業が関わると、ターゲティング能力が低下し、広告キャンペーンの効果が低下する恐れがあります。そのため、パブリッシャーは、サプライパスの最適化によって広告のパフォーマンスを向上させるために、パブマティックを頼りにするのです。
例えば、パブマティックは8月17日に、総合広告代理店ハバス・メディア・グループとのサプライパス最適化契約を拡大しました。その後に開かれたエバーコアISIテクノロジー・コンファレンスで、パブマティックの経営陣は、「今回のような契約拡大を通じて、ハバスのような代理店側はサプライサイドのプラットフォームを10社ほどから2、3社に絞るのが一般的ですが、その中でパブマティックは、優先プロバイダーに選ばれています」と述べました。こうしたことが、同社の市場シェア拡大につながっています。
経営陣によれば、2021年第2四半期に、パブマティックのプラットフォーム上のすべてのアクティビティの24%がサプライパス最適化の案件でしたが、2022年第2四半期には、この割合が30%に上昇しました。経営陣は、こうした傾向が顧客維持の強化につながると、高く評価しています。エバーコアのコンファレンスで、経営陣はさらに「我々が何か大失態を演じない限り、(サプライパス最適化)市場から我々が追放されることは考えられない」と述べました。株主にとって、これは好材料です。
このように、広告の買い手と売り手の間に存在する余剰を排除する手法の重要性は、パブマティックが9月にマーティンという企業を買収したことにも表れています。パブマティックが現金を支払うということ以外、買収の条件は明らかにされていません。しかし、マーティンの買収は、パブマティックのサプライパス最適化サービスをより魅力的なものにすることが目的です。
金利が上昇し、世界経済が減速する中、マクロ経済環境はパブマティックのような有力企業により有利に、それ以外の企業にとっては不利になっています。今後5年間のパブマティックの事業についての詳細な予測は控えておきますが、同社は収益性が高く、1億8,300万ドルに上るキャッシュポジションを有しており、これらは景気後退で多くの中小の競合他社が直面すると見られる苦境から、同社を守ってくれるはずです。
パブマティック株を長期的に選好する理由は、他にもたくさんあります。しかし、景気の影響や、顧客が広告供給の最適化を図ることで中小プレーヤーが淘汰される中、パブマティックは市場をアウトパフォームする結果を生み出すと思われます。
ブロック:グローバル展開が加速
2022年上半期において、フィンテック企業ブロックの売上高は前年同期比で14%減少しました。しかし、海外市場からの売上高は同132%増と急増し、グローバル展開の重要性を示しています。
とはいえ、ブロックの海外売上高は内部成長によるものだけではないため、この成長率は割り引いて考える必要があります。同社は2022年2月に、後払い決済(BNPL)サービスを手掛けるオーストラリアのアフターペイの買収を完了しました。これにより、第2四半期だけで売上高は2億800万ドル押し上げられ、その一部は海外市場からもたらされました。ちなみに、ブロックの第2四半期の海外売上高はわずか2億5,700万ドルだったため、上半期で132%増という急成長の大部分は、アフターペイと大いに関係があると言えます。
とはいえ、ブロックの経営陣は、アフターペイのおかげで、海外売上高の内部成長率が今後加速すると考えています。同社が基本的に目指しているのは、自社のモバイル決済サービス「キャッシュアップ」のエコシステム(同社は「ソーシャル・マネー・ネットワーク」と呼んでいます)の構築であり、世界のどこにいても、暗号通貨を含めたどの通貨であっても、ユーザーが簡単に資金のやり取りができるようになることです。そしてアフターペイは、この夢の実現に近づくための推進力となるはずです。
ブロックが提供するキャッシュアップのサービスと商品は、市場によって異なり、その中の1つがBNPLサービスです。経営陣は、既存市場で新たな商品/サービスを導入すると、ネットワーク効果によって普及が拡大すると考えています。つまり、キャッシュアップのサービスが包括的になり、利用する人が増えるほど、人々はキャッシュアップをますます使いたくなるということです。
ビットコインによる売上高を除くと、2022年上半期のキャッシュアップの売上高は約16億ドルであり、総売上高の約19%を占めました。ビットコインの売上高は総売上高の42%を占め、しかもビットコインはキャッシュアップのエコシステムに組み込まれています。しかし、ビットコインは利益を生み出すことを目的としておらず、単なるサービスにすぎません。そのビットコインとは対照的に、キャッシュアップは非常に収益性が高く、2022年上半期には、粗利益全体の48%に当たる約13億ドルもの粗利益を生み出しました。
つまり、ブロックにとってキャッシュアップは売上高としてはそれほど大きくないものの、粗利益では半分近くを生み出しています。そのため、同社のグローバル展開には大きな期待が持てます。経営陣の期待通りに多くの人がキャッシュアップを利用するようになれば、利益は急増し、ブロックの株価は市場をアウトパフォームできるはずです。
繰り返しになりますが、今後5年間は市場全体も好調が見込まれるため、市場をアウトパフォームすることは簡単ではないでしょう。しかし、パブマティックとブロックは、アウトパフォームするために必要な要素を持っており、投資を検討する価値があると思われます。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jon Quastは、ブロック、パブマティック、トレードデスクの株式、およびビットコインを保有しています。モトリーフール米国本社はブロック、パブマティック、トレードデスクの株式、およびビットコインを保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。