BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)は先週から膠着状態が続いています。5%前後の値幅で目立った動きがありません。10月初めの数日はリスクオンで上昇しかけたのですが、水曜日からは切り返してリスクオフ相場が続いています。今週10月12日には米PPI(生産者物価指数)、13日には米CPI(消費者物価指数)とインフレ指標が立て続けに発表されます。

事前予想では、PPIは+8.4%、CPIは+8.1%とピークと比較すると徐々に低下傾向の見通しです。
特に6月のPPIは+11.3%と非常に高い数字でした。生産者の物価が+8.4%まで軟化が予想されていることから、利上げの一定の効果が出始めていると考えられます。

CPI、PPIが市場予想の通り、または予想を少しでも下回る結果となれば、市場にはポジティブな反応が起きるのではないでしょうか。一方、予想外にCPIが高い数字となった場合は、リスクオフ相場になる可能性が高いでしょう。米ドルは買われ、新興国通貨はさらなる下落も考えられます。株式市場は続落となり、BTCなども連れ安となりやすいため注意が必要です。

BTC(ビットコイン)、レンジ相場下限からのエントリー狙いか

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析です。275-300万円の狭いレンジで推移しています。上値はSMA90に何度も阻まれており、レジスタンスとして機能しています。SMA7や30も似たような価格で推移しており、方向感の乏しさを示唆していると考えられます。下限は上昇トレンドラインからのエントリーでしょうか。

押し目を狙うならば、このトレンドライン付近からの買いを検討することになります。上値は300万円を意識しつつ、ここを突破する場合は、次の上限ライン335-340万円付近が意識される展開になりそうです。

300万円の突破条件としては、CPIの低下でしょうか。市場予想を大幅に下回る結果が出れば、株式市場も大きく好感するでしょう。今週は静観姿勢を中心に、押し目があったら拾うスタンスでいきたいところです。

ETH(イーサリアム)、17万5000円のサポートラインを割り込むか

【図表2】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてETH/JPYチャートです。上昇傾向にあったトライアングルを右方向に抜けてからしばらく経過しています。現状、安値は17万5000円付近となっていますが、トレンドラインをブレイク後、20万円に反発し、そこから18-20万円の狭いレンジ形成を3週間近く継続しています。

下落後の水準が継続している状況です。予想以上にこのような状況が継続するのは、おそらく中長期投資家の投げがほとんどないからではないでしょうか。よって、マーケットに残っているのは大半が短期勢だと考えられます。こういった場合、例えば17万5000円を割り込んだ場合もストップロスだけを誘発し、下ヒゲで戻っていくケースが想定されます。

その値動きをあえて待ち続けることも1つの戦略です。前述の仮説通りなら、おそらくカウンターで急落後、急騰しやすいパターンとなるでしょう。

このコラムでも何度かお伝えした通り、ETHは9月15日に大型アップデートがありました。そのハードフォーク後からマイニング報酬による事実上の量的緩和ロジックが止まっています。ETHのロジックルール上、量的引き締めを今後100年以上続けていくことになるため、対法定通貨と比較すると価格が上昇しやすいと考えられます。インフレ資産としての地位確立につながっていくのではないかと私は期待を寄せています。

値動き動向の予想としては、ETHもBTC同様に今週のCPI結果発表待ちとなるでしょう。市場の予想通り、もしくはそれ以下で発表されることがあれば、来月FOMCの利上げ予測は0.75%→0.50%に失速し、そういった見通しでマーケットが動き出すと考えられます。暗号資産市場も上昇しやすくなるため、このパターンが起こることに期待しています。今週はPPI、CPIの結果発表を待ちつつも、上昇目線を堅持したいと思います。